中国人の妻と結婚して9年目になる著者が、日常生活を送る中で感じた、日中の文化の違いを紹介するコラム【中国人妻、あるある!】。前回は、スポーツ文化の違いということで「『野球』に全く関心を示さない」ことを紹介した。今回は、「『誕生日』が2回ある」ことを紹介する。
「『誕生日』が2回ある」とはどういうことか? 種明かしをすれば、「旧暦」と「新暦」の誕生日があり、妻はそのどちらも強く意識しているということだ。日本人だと、「新暦」の誕生日だけ覚えているのが普通だが、妻は、「旧暦」の誕生日の日付もはっきりと覚えている。
中国人が「旧暦」を大切にするのは、「旧正月」つまり「春節」を盛大に祝うことが、日本人にも広く知られている。横浜や神戸の中華街などでは、旧正月で大いに盛り上がるからだ。以前、妻が中国人の家族が集まって旧正月を祝うイベントに参加したこともある。だが、ことは旧正月だけにとどまらない。旧暦の8月15日を祝う「十五夜」など、旧暦に基づく行事などを、中国人は日本人以上に重視するのだ。
だがここで困るのは、妻の誕生日は新暦では秋のある月なのだが、旧暦ではその前の月で、その旧暦の誕生日の日付を、どうしてもはっきり覚えられないということだ。「今日は旧暦の誕生日だよね」、「今日は新暦の誕生日だよね」と2回お祝いする必要がある。
もちろん誕生日プレゼントを2回渡せといわれているわけではないのだが、一言、旧暦の誕生日にも「誕生日おめでとう」と言わないと、かなり寂しがる。したがって、手帳には必ずメモしておかなければいけない。
特に、海外にいる妻のような中国人、つまり「華僑」は、旧暦でのお祝い事などを民族のつながりとして重視しているようだ。したがって、こちら側もそれを意識した行動をとらなければいけないということだ。
私も海外に1年ほど滞在したことはあるが、確かに、日本の祝日などは、日本にいるときよりも気になるぐらいだった。旧暦での妻の誕生日を覚え、それをお祝いする言動をとることで、彼女の海外にいる寂しさを少しでもまぎらわせることができるのなら、少しややこしいが、率先してやらなければいけないと思っている。
(イラスト : ミサイ彩生)