日本音楽著作権協会(以下、JASRAC)は22日、2012年度の音楽著作権使用料の徴収額などを発表した。それによると、2012年度の使用料等徴収額は前年度比5.6%増の約1,118億4,465万円となり、5年ぶりに前年を上回った。CDの売上やコンサートなどが前年度より伸びたことが主な要因。

徴収額の推移(出典:日本音楽著作権協会Webサイト)

種目別に見ると、コンサートなどを含む演奏は前年度比5.0%増の約541億9,763万円。内訳は、演奏等が同8.3%増の約195億289万円、放送等が同4.8%増の約292億1,960万円、有線放送等が同4.5%減の約45億7,350万円、映画上映が同1.1%増の約1億5,123万円、BGMが同1.6%増の約4億2,309万円、外国入金演奏が同9.4%減の約3億2,732万円となった。

震災後、催し物の中止や延期が相次いだが、その後は開催件数が急速に回復し、2012年度も件数が増加。また、使用料規定の経過措置が終了し、適用する使用料率が4%から5%になったことなども影響した。なお、新規管理分野のフィットネスクラブやカルチャーセンターでの徴収額は順調に増えているとのこと。

録音は前年度比14.4%増の約393億3,458万円。内訳は、オーディオディスクが同8.7%増の約155億5,375万円、ビデオグラムが同19.9%増の約215億8,089万円、外国入金録音が同4.9%増の約1億3,055万円、録音・その他が同5.5%増の約20億6,938万円となった。オーディオディスクはシングル・アルバムともにヒット作に恵まれたほか、ビデオグラムはアニメやテレビドラムが伸び悩んだのに対し、音楽ビデオでの利用が好調だったという。

複合は同5.3%減の約140億625万円。内訳は、通信カラオケが同4.3%増の約63億513万円、インタラクティブ配信が同11.9%減の約77億5,736万円となった。通信カラオケは、広域チェーン店を中心にカラオケボックスの出店が好調で、震災の影響を受けた前年度を上回った。一方、インタラクティブ配信は、携帯電話用の従来型音楽配信市場が縮小するとともに、スマートフォン等携帯端末ユーザー向けのビジネスモデルの構築が足踏みした。

出版は前年度比2.2%減の約11億6,308万円、貸与は同15.7%減の約29億2,612万円、補償金は同57.6%減の約1億6,076万円。

JASRACは併せて、著作物使用料の分配額が多かった音楽作品を表彰する「JASRAC賞」を発表。その結果、国内作品分配額第1位の金賞はAKB48の『ヘビーローテーション』が2年連続で受賞し、AKB48が前年に引き続き金、銀、銅賞を独占した。このほか、国際賞はアニメ『NARUTO-ナルト 疾風伝BGM』、外国作品賞は東日本大震災復興支援プロジェクトのテーマソング『Rising Sun』が受賞した。