「Microsoftが最も収益を上げているモバイルOSは"Android"」というタイトルの興味深いレポートが上がっている。Windows Phone 7/8と立て続けに新OSを投入してきたMicrosoftのモバイル事業だが、実際のシェアはわずか数%程度と芳しくないことは多くが知るところだ。ところが最大シェアを誇るAndroidの端末メーカーからの特許料収入が、Windows Phoneなどの本業よりも収益に貢献しているのではないかというのだ。
同件はZDNetが報じている。元はBGRが5月1日に報じたレポートだが、それによればMicrosoftはAndroidデバイスを1台販売するごとに8ドルの特許料収入があり、これをまとめると2013年中にAndroid端末販売だけで34億ドル規模の収益を得る可能性があるという。こうしたプロセスに至るまでの方法はさまざまだが、直接訴訟を仕掛けて賠償を得るほか、訴訟による賠償金を嫌って事前に特許ライセンスを結ぶケースがあり、特に後者はFoxconnなどの製造専業ベンダーなどにも拡大している。これが結果として、実際に訴訟でMicrosoftが表に出てくるよりも、より多くの収益を同社にもたらしていると考えられる。
現在、Android端末メーカーでMicrosoftへの特許ライセンス支払いが発生していないのはGoogle子会社であるMotorola MobilityとHuaweiだけで、両社のシェアを考えればAndroid端末販売台数のおよそ7~8割程度で上記ライセンス収入がMicrosoftに発生していると思われる。こうしたケースでは特許闘争でダメージを受けるよりもライセンスを結んだほうが被害が少ない可能性が高いという理由もあり、これまでMicrosoftやOracleなどの特許保持者に正面切って勝負を挑むメーカーは少なかった。対抗できる可能性があるのはGoogleだが、その大勝負に勝たない限りAndroidシェア躍進に比例する形でMicrosoftの収入は増え続けることになる。現在、MicrosoftがWindows Phoneならびに関連サービスでどの程度収益を上げているのか詳細は不明だが、非常に面白い状況だ。