大きな拍手で迎えられる中、トークショーに登場した野沢雅子

現在、上映中のアニメーション映画『ドラゴンボールZ 神と神』の公開を記念した展覧会「鳥山明 The World of DRAGON BALL」が4月15日に大盛況のうちに幕を閉じたが、その翌日16日に、1日限定のオリジナルアニメ上映会とミニトークイベントが行われ、孫悟空役の野沢雅子が登場した。

劇場版のアニメ作品としては1996年の『ドラゴンボール 最強への道』以来、実に17年ぶりとなる『ドラゴンボールZ 神と神』は、15日の時点で180万人、興行収入が20億円を突破するなど爆発的なヒットを見せているが、「オッス! オラ悟空。うれしいぞ、こんなにいっぺー来てくれて。ありがとう!」と登場した野沢はこの結果に「ゴールデンウィークまで公開しますから、300万人はいきますね(笑)」と喜びを隠せない様子。今回のヒット要因については「鳥山明さんの世界がホットなんです」と表現し、「悟空が今時のイケメンキャラじゃなく、どこにでもいそうなところが愛されている秘訣。今ではすっかり大人になったが、マイペースな姿勢で戦い続けるところもいい」と、本作の舞台あいさつ時と同じく、悟空の魅力が"イケメンすぎないところ"であることを力説した。

連載が始まって今年で29年。年々ファン層が広がり続けている『ドラゴンボール』シリーズだが、野沢は「ブログとかツイッターって言うんですかね? 機械が苦手なんですがそれを見ていると、三世代で楽しんでいるようです」と本作の反響をしっかりチェックしているようで、「61歳の女性ファンがいて、1人で映画館にすでに3回、最低6回は足を運びたいという書き込みを見ました(笑)」と、文字どおり子供から大人、老若男女問わず愛されている作品であることを証明していた。

今回のアフレコではキャラクターがまだ"線"で描かれている状態だったらしく、監督に「この線は誰? この動きは何?」と何度も聞いたという裏話も

その後、トークは劇場版のオリジナルキャラクター、ビルスとウイスの話題へ。「ちょっとドジで、いつもの悪役と違う憎めないキャラクター」と紹介した野沢は、「今回の作品では死んでしまうキャラクターがいないんです。それは、やっぱり震災を体験した子供たちに元気を与えたいという思いがあるからなんですです」と改めて本作を構想した原作者・鳥山明を絶賛。また、悟空とビルスとのバトルシーンについては、スケジュールが会わず、ビルス役の山寺宏一と同じ場でアフレコに臨めなかったが「山寺君とはほかの作品でも共演しているので、相手がいなくてもリアクションを想像して思いっきり演技することができますよ」と山寺との以心伝心を語っていた。

さらに野沢は、悟空の「まいった」というセリフを、「彼はどんな時にもダメと言わない」ことから、少し明るく「まいったなぁ……」とアドリブを入れて演技していたという。それを試写会で見た鳥山明は「あれが悟空です! あのセリフだったら悟空はまだまだやっていける」と称賛し、野沢は「もう最高にうれしかった。役者冥利につきます」と感激しながら振り返っていた。そして「悟空はやられても修行してまた挑戦すると思います。そんなところも彼の魅力!」と話し、29年間共に悟空と歩んできた野沢だからこそ説得力を持つこの発言に、観客からは大きな拍手が送られていた。

いまだ第一線で活躍し続ける野沢だが、そのパワーの秘訣を聞かれると「実は秘訣とかって考えたことがないんです。のんきなんです、私。そのあたりは悟空と似てますね」とここでも悟空似のコメント。さらに「頑張ろう! と構えず、何がきてもOK! 常にOK! 悟空と同じで負ける気がしないので、それが元気の秘訣なのかも」と話し、ラストには「数字云々より皆さんが見てくださることがうれしい。今後もドラゴンボールは永遠! 悟空は不滅です!」と締めくくり、大盛況のトークイベントは幕を閉じた。

映画『ドラゴンボールZ 神と神』は現在、全国公開中。