国土交通省は4日付けで、甲賀市、信楽高原鐵道、および滋賀県が共同で提出していた信楽高原鐵道信楽線の鉄道事業再構築実施計画を認定した。4月1日より、信楽線の全線(貴生川~信楽間、14.7㎞)に「上下分離方式」が導入される。

信楽高原鐵道信楽線では現在、車両4両を保有し、1日15往復運行している(写真はイメージ)

鉄道事業再構築事業は、継続が困難、または困難となるおそれがある鉄道事業を対象に、市町村などの支援を受けつつ、公有民営化などを行うことでその路線の維持を図るための事業。これまでに3事業者が認定を受けている。

信楽高原鐵道信楽線は、旧国鉄信楽線を引き継ぎ、1987年に第3セクターとして設立。地域住民の通勤通学の交通手段として重要な役割を担ってきたが、1991年の列車衝突事故以降、沿線の人口減少や交通環境の変化などもあって利用者数が減少。2011年度は9,000万円の赤字を計上するなど、厳しい経営状況が続いていた。2011年度の輸送実績は49万人。

鉄道事業再構築事業の認定により、信楽高原鐵道は鉄道用地、鉄道施設、および車両を滋賀県甲賀市に無償譲渡。第3種鉄道事業者となる甲賀市から用地・施設・車両を無償で借り受ける形で列車の運行を行う。これにともない、同社は現行の第1種鉄道事業者から、他の鉄道事業者から線路を借りて運行する第2種鉄道事業者となる。

「上下分離方式」の導入により、信楽高原鐵道は鉄道施設などの維持管理負担が軽減。今後は収支均衡と安全で安定した運行の維持に専念する。鉄道施設の維持修繕や更新を行う甲賀市に対しては、国と県が支援を行い、負担の軽減を図る。