2011年に惜しまれながら終了したテレビ時代劇の人気シリーズ『水戸黄門』が3月、舞台で復活する。福岡・博多座(3日~)、大阪・新歌舞伎座(23日~)での上演を控え、この公演が15年ぶりの舞台出演となる女優・佐藤藍子が意気込みを語った。

舞台『水戸黄門』に出演する佐藤藍子

"黄門様"こと水戸光圀を里見浩太朗が演じるほか、原田龍二、合田雅吏らテレビシリーズで活躍したレギュラーメンバーが再び集結する舞台版『水戸黄門』。佐藤は、黄門様ご一行が“世直し旅”で訪れる長崎の貿易商の娘・千鶴を演じる。家業を助けるため、恋人との仲を引き裂かれそうになっても堪え忍ぼうとする女性だ。

「千鶴はおしとやかな性格。普段の私とはまったく違うので、戸惑いもあります」と佐藤。「ケンカの場面の稽古中、普段の自分がやりそうな“真剣白刃取り”みたいな動きをしてしまって、『男勝りやな~』と笑われてしまいました(笑)」と活発な性格がついのぞいてしまうことも。だが、「自分と真逆の役はやりがいがある。今は共演の諸先輩方や演出の先生にアドバイスをいただきながら、昔の女性らしいしとやかな動きを体に馴染ませているところです」と意欲的に役に取り組んでいる。

佐藤は、テレビシリーズの『水戸黄門』にも2011年にゲスト出演している。「時代劇のお仕事は楽しい。せっかく日本ならではの表現の仕方があるんだから、継承していかないといけないと思うんです」と語る佐藤は、『水戸黄門』の魅力を「独特の安心感」だと話す。「黄門様が現れて、印籠を見せて…という決まった流れがわかっていても、それを『ほら来た!』と心待ちにする楽しみがあるでしょう?(笑)殺陣のシーンも、稽古中にそばで見ていて『私もやりたい!』と思うほどかっこいいので、楽しみにしていただきたいです」。

前回の舞台出演は1998年、蜷川幸雄演出の『ロミオとジュリエット』。佐藤は「当時、私は20歳。初舞台で経験もなかったし、とにかく無我夢中だったので、自分が何をやっていたのか記憶にないぐらいなんです。でも、カーテンコールだけはしっかり覚えていて、お客さんの温かい拍手で『次もがんばろう!』と思えた」と振り返る。「舞台と映像とでは表現の仕方が違う。『私を見て!』という気持ちを強く持って、大きく演技しないと気持ちが伝わらない。緊張もありますが、お客さんに伝わるよう、自分も楽しみながら精一杯演じたいと思います」。