東北電力は14日、家庭向け電気料金の値上げを経済産業大臣に申請したと発表した。値上げ率は平均11.41%。併せて、認可が不要な企業向け電気料金についても平均17.74%の値上げを行う。実施時期はともに7月1日からを予定している。
今回の値上げにより、一般家庭(従量電灯B、契約電流30A、使用電力量280kWh/月)の電気料金は、現行料金6,683円から540円(8.08%)増加し、7,223円となる。
同社の電力供給設備は、2011年に発生した東日本大震災により、太平洋沿岸の火力発電設備や流通設備を中心に、大きな被害を受けた。また、地域の生活や産業に対する打撃などから電力需要が大幅に減少したほか、同年7月には新潟・福島豪雨が発生し、多くの水力発電所が被害に遭遇。さらに、原子力発電所の長期間にわたる停止、東京電力の福島第一原子力発電所事故に伴う直接・間接の被害など、複数の課題への対応を迫られてきたという。
これらの課題が要因となり、2010年以降は純損失ベースで3期連続の赤字が見込まれ、特に2011年度は個別当期純損益で2,102億円の赤字を記録。また、震災などによる収支悪化への影響は、2011年~2012年度累計(2010年度特別損失含む)で約9,000億円に上り、大きな負担となっているという。さらに燃料費増加などの影響もあり、2012年度末の自己資本率は11%程度まで落ち込むことが予想されている。
同社は値上げ申請に当たり、料金原価の算定期間を2013年度から2015年度の3年間に設定。申請原価については、経営効率化により約800億円の経費削減を予定するものの、燃料費や他社からの購入電力料の大幅な増加が避けられず、年平均1,980億円の収入不足が生じることから、今回の値上げを決定したとしている。
なお、同社は原価算定に際し、原子力発電所の運転計画を経産省に提出。それによると、2015年7月に東通原子力発電所1号機を、2016年度以降に女川原子力発電所3基の運転を再開する予定だとしている。