iOS、Android、Windows RTの3種類のモバイルOSタブレットの出揃った2012年のホリデーシーズン商戦だが、ここで初登場したWindows RT搭載のMicrosoft製端末「Surface RT」を、ソフトウェアや製品そのものではなく「ディスプレイ性能」の面から評価したレビューが登場して話題になっている。
総合評価が一般的なデバイス同士の比較レビューだが、DisplayMateが公開した比較レビューではあくまでディスプレイ性能の部分にのみフォーカスしている。今回ターゲットとしているのはSamsung Galaxy Tab 10.1、Apple iPad (第3世代)、Microsoft Surface RT (Surface with Windows RT)の3種類。ディスプレイサイズはどれも10インチ前後と近く、それぞれのOSプラットフォームの代表として選ばれたのだろう。すでに新世代の製品が出ているものもあり、必ずしも同時期の製品比較ではないが、ある見方からの参考にはなるはずだ。
Surface RTのディスプレイ解像度はWindows 8/RTがサポートする最小サイズの1,366×768であり、フルHD搭載も当たり前となりつつあるWindowsタブレットの中ではやや見劣りするスペックとみられている。だがGalaxy Tab 10.1が1,280×800というように、同クラスのモバイルOS搭載汎用タブレットと比較するとppiの値もほぼ同程度(150ppi前後)であり、標準的なスペックといえる。例外はiPad 3で、2,048×1,536の264ppiと他を圧倒するスペックを誇っている。
だがDisplayMateによれば、Surface RTのディスプレイには他の部分で非常に突出した点があるという。例えばppi自体は標準的なものの、MicrosoftがClearTypeと呼ぶサブピクセルのレンダリング技術により、同程度のppiを持つライバルと比較しても文字等のシャープさが際立っているという。また3つのデバイスではSurface RTが最も反射が少なく、特に高い照射光のある環境(昼の屋外など)での視認性が最も高かったという。さらにディスプレイが最大輝度時に消費する電力が最も少なく、同条件で動作させた際のバッテリ動作時間がGalaxy Tab 10.1で4.8時間、iPad 3が5.8時間、Surface RTが8.1時間だったとのこと。ディスプレイのバックライトはタブレット利用時に最も電力を食う要素の1つであるため、これは長時間動作という点で大きなメリットとなる。一方でカラーガンマが非常に狭いデメリットがあり、色再現の面でiPad 3に大きく引き離されている点が指摘されている。
総評でみると、Surface RTのディスプレイはGalaxy Tab 10.1のそれに比べておおむね優秀で、iPad 3に対してはppiの差異からくるシャープさの表現と、カラーガンマの圧倒的な差で負けている以外は、全体に優位にあると考えられるようだ。単純に解像度でみると魅力の少ないSurface RTだが、その実はモバイル用途では優れた特徴を引き出しているのかもしれない。