29年前にiPadを思い描いていたS・ジョブズ氏 - 83年講演の完全版公開

 

Marcel Brown氏がデジタル化した音源を収めたカセットテープ

Apple創業者のSteve Jobs氏が1983年にInternational Design Conferenceで行った講演「The future isn't what it used to be」のQ&Aセッションを含む完全録音が公開された。

同講演は、今年8月にCenter of Design Innovationが21分間の講演部分を公開し、コンピュータ世代の台頭や、コンピュータがTVに代わって主要な媒体になるという予想、モバイルコンピューティングや今日のストリートビューのような技術の可能性に言及した内容が話題になった。

50分間の完全版はLife, Liberty, and TechnologyのMarcel Brown氏が公開したもので、バックグラウンドノイズの処理などが施されており、非常に聞きやすくなっている。

講演が行われた29年前は、パーソナルコンピュータが非常に高価で、サイズは大きく、スタンドアローンで使われていた時代だ。Q&AでJobs氏は、コンピュータ同士がつながりコミュニケーションに用いられる構想を語り、当時の異なる通信プロトコルがまとまらない問題を指摘した。しかし、5年後にはエンタープライズ市場にネットワーキングが浸透し、10-15年後には家庭にも広がると予想。構想はワイアレス通信によるユビキタスコンピューティングに広がり、そうした未来に向けたAppleの戦略として「本のようなスタイルに素晴らしいコンピュータを組み込み、常に持ち歩け、そして20分程度で誰でも使い方を習得できるようにする」と語った。まるで、今日のiPadやiPhoneである。

また、ソフトウエアは流通をレコード産業から学ぶべきだとも語っている。レコードを買う人は、ラジオなどで聞いて気に入った曲を購入する。ラジオ局が提供する無料サンプルが音楽の面白さを伝え、レコードの売上増に貢献する。ソフトウエアにも、そんなソフトウエアを身近にする仕組みが必要だとした。ソフトウエアはデジタル信号で伝えられるから、電話線を通じてユーザーに直接配信できる。それならばソフトウエアの一部だけを体験してもらうことが可能だとした。このアイディアが、2008年にオープンしたApp Storeや、2011年オープンのMac App Storeにつながったのだろう。App StoreやMac App Storeには体験版の仕組みはないが、デジタル音楽を配信するiTunes Storeでは無料でサンプルを試聴することが可能だ。

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