キヤノンは6月8日、エントリーユーザー向けのデジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss」シリーズの新モデル「EOS Kiss X6i」を発表した。発売は6月下旬で、価格はオープン。

パッケージはボディのみのものと、交換レンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II」1本が付属するレンズキット、さらに「EF-S55-250mm F4.5-5.6 IS II」も付属するダブルズームキット、「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」1本のみが付属するレンズキットが用意される。推定市場価格はそれぞれ9万円前後、10万円前後、13万円前後、13万円前後となっている。

「EOS Kiss X6i」

背面

AF性能を中心に従来モデルよりさらに使いやすさの強化が図られたモデル。型番の「i」は「integrate(機能の統合)」や「intelligent(高い知能を持つ)」という意味が込められている。

具体的な機能としては、「EOS」シリーズ初となる「ハイブリッドCMOS AF」と、「EOS Kiss」シリーズ初となる9点オールクロス測距により、AF性能が大幅に進化した。

高速合焦を可能にするため、CMOSセンサーにはハイブリッドCMOS AF適用エリアが設けられた

ハイブリッドCMOS AFは、位相差AFとコントラストAFそれぞれの特性を組み合わせたもの。CMOSセンサーの中心部に設けられたハイブリッドCMOS AF適用エリアで被写体を捉える場合に、まず位置予測が得意な位相差AFを利用して合焦点付近までピントを持っていき、最後の細かいピント調整にコントラストAFを用いる。これにより、ライブビュー撮影時でも、高速での合焦を可能になった。

また、ファインダー撮影時のみの利用に限定されるが、9点オールクロス測距が高精度・高速なAFを実現。F値がF2.8以上の明るいレンズを使用する場合は、さらにピント精度が高くなる。

EOS Kiss X5」で「DIGIC 4」だった画像処理エンジンは、「DIGIC 5」を採用。最大ISO12800(拡張設定時はISO25600)での高感度撮影が可能になったほか、ノイズにも強くなった。これにより、屋内や夜景などの暗所でも高画質で撮影できるようになっている。


画像処理エンジンは、「EOS Kiss」シリーズとして初めて「DIGIC 5」を採用する

「EOS」シリーズ初の機能としては動画サーボAFを採用したことも挙げられる。一度ピントを合わせた被写体に合焦し続けるので、動く被写体を映像に収めたい場合に最適だ。

そのほか、EOS Kiss X5の約3.7コマ/秒から約5コマ/秒という連写速度向上、背面モニターのタッチパネル化、AE性能向上による「EOSシーン解析システム」のシーン解析力・表現力向上など、より手軽に高画質での撮影が可能な一台となっている。

動く被写体を捉えるのに最適な動画サーボAFに対応

解析力向上で「シーンインテリジェントオート」が使いやすくなった

背面の液晶モニターは可動式となっている

主な仕様は、撮像素子がAPS-Cサイズ(約22.3×14.9mm)・有効約1,800万画素のCMOSセンサーで、レンズマウントがキヤノンEFマウント、対応感度がISO100~12800(拡張設定時はISO25600)、シャッター速度が1/4,000~30秒となっている。ファインダーは視野率約95%・倍率約0.85倍、背面のモニターは3型ワイド・約104万ドットの液晶方式(タッチパネル)。記録メディアはSD/SDHC/SDXCカードが利用可能で、記録形式は静止画がJPEG、RAW(RAW+JPEGも可能)、動画がMPEG-4 AVC/H.264(MOV形式)となっており、動画の記録画素数は最大1,920×1,080ドット(フルHD/30p)だ。

付属バッテリーの撮影可能枚数は、ファインダー撮影時で約400枚、ライブビュー撮影時で約150枚となっている(いずれもCIPA準拠)。

サイズは約W133.1×D78.8×H98.8mm、重量は本体のみで約520gだ。

Stepping Motor採用のEFレンズ2製品

【上】「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」 【下】「EF40mm F2.8 STM」

EOS Kiss X6iの発表に合わせて、EFレンズ「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」「EF40mm F2.8 STM」の2製品もリリースされた。STMは「Stepping Motor」を意味し、起動・停止のレスポンスや制御性が高いレンズとなっている。

EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STMでは、リードスクリュータイプと呼ばれるメカニカル構造が採用され、モーターの回転駆動が鏡筒の直進駆動にシンプル・ダイレクトに伝わる。これにより、動画撮影時においても、スムーズかつ静かなサーボAFを実現。

一方のEF40mm F2.8 STMでは、ギアタイプと呼ばれるメカニカル構造を採用する。"はす歯ギア(斜歯ギア)"がギアユニットに用いられることで、従来のDCモーターより静かでスムーズな動画サーボAFを実現。また、EF40mm F2.8 STMはキヤノン製レンズとして最薄となる22.8mmという厚みを誇っている。

発売時期は2製品とも6月下旬で、希望小売価格(税別)はEF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STMが68,000円、EF40mm F2.8 STMが23,000円となっている。