Intelは2月14日(米国時間)、2012年後半に提供を開始する予定の次世代通信プラットフォーム「Crystal Forest(開発コード名)」の主要機能を公開した。

現在、ネットワーク上には、毎分30時間視聴相当のビデオがアップロードされており、2015年には毎秒IPネットワークを通過するすべてのビデオを視聴するにはおよそ5年を要するまでトラフィック量が増加することが見込まれており、こうした増加するトラフィックをパフォーマンスやセキュリティを損なうことなく、コスト効率高く運用管理できるプラットフォーム・ソリューションが求められるようになってきた。

一般的にネットワーク機器メーカーでは、拡張性の高いネットワーク・プラットフォームの構築に、機能特化した複数のコプロセッサとプログラミング・モデルを組み合わせることで、複数の通信手法への対応を図っているが、搭載するべき機能が多岐にわたるようになり、複雑かつコストを要する開発工程が強いられるようになってきた。Crystal Forestはアプリケーション、コントロール、パケット処理の3つの通信処理機能をIAマルチコア・プロセッサで統合することで、高いパフォーマンスの維持と、製品開発期間の短縮を図ろうというもの。

レイヤ3のパケット転送で最大1億6,000万パケット/秒のパフォーマンスを実現することが可能で、ネットワーク・ノードごとに数千本の高解像度ビデオの伝送を可能とする。従来、1億パケット/秒を超える通信では、専用のASICもしくはプロセッサが必要となっていたが、Crystal Forestではソフトウェア・ライブラリとアルゴリズムから構成される「Intel data plane development kit (DPDK)」を提供することで、IAプラットフォーム上のパケット処理パフォーマンスとスループットを向上させ、従来のIntelプラットフォーム比で5倍以上のパフォーマンス向上を実現したという。

また、暗号化、圧縮、ディープ・パケット・インスペクション(DPI)などの特別な高速パケット処理を行うIntel QuickAssistテクノロジーも搭載。これにより、安全なインターネット・トランザクションをプラットフォーム上で最高100Gbpsまで高速化できるようになり、サービス・プロバイダはこれらのソリューションにコストを費やすことなく、大量のトランザクションを安全に処理できるようになると同時に、特定のアプリケーションやオンライン金融取引で使用されているオプトイン型のネットワーク接続とは異なり、常に安全なインターネット接続を「オン」の状態にしておける「always-on」型ネットワークへと進化させることも可能になるという。

さらに開発者はWind River Simicsが提供するCrystal Forestプラットフォームのシミュレーション・モデルを使用することで、ソフトウェアの開発から検証、システム化までの工程を短縮することが可能となる。Wind River Simicsを用いることで、Crystal Forestはあらゆる対象のコンフィグレーションをモデル化し、対象ソフトウェアに変更を加えることなく、モデル上で動作させることができるようになり、開発者はこれまで以上に効率的なBIOSの立ち上げ、OSの最適化、アプリケーションの開発などに注力できるようになるという。