米MicrosoftでWindows Phone Developer Experience部門のトップだったBrandon Watson氏が同社を辞め、米Amazon.comのKindleチームに参加したことがわかった。Business Insiderなど複数のメディアが報じている。Watson氏はWindows Phone向けアプリを開発するデベロッパーの窓口的存在であり、Marketplaceや開発ツール関連の情報提供や施策を練ってきた人物だ。

MicrosoftとAmazon.comは同じ米ワシントン州シアトルを拠点としており、優秀なエンジニアやマネージャの引き抜きが横行するIT業界では、「同じ地域で別のよい仕事を提供」されて移動すること自体は不思議ではない。実際、Microsoftのアプリ開発プラットフォームを指揮する一線の人物をAmazon.comが引き抜いてディレクターに据えたことは、Kindleプラットフォームにおけるアプリ基盤を強化することが明らかな狙いだからだ。その意味で、今後のKindleの動きに注目といえるだろう。

だがBusiness Insiderによれば、Microsoft内部で起きている別の新たな動きがWatson氏の今回の移籍の背景にある可能性が考えられる。例えば、Watson氏はもともとWindows Phoneチームに在籍して開発プラットフォームのリードを務めていたCharlie Kindel氏によって前職に招かれた人物であり、そのKindel氏は今年初めにすでにMicrosoftを辞めて別のスタートアップへと参加しているという。またモバイル部門でトップだったAndy Lees氏に代わり、Terry Myerson氏が同部門トップとなるなど、モバイル関連の人事シャッフルがここのところ激しい。

推測の1つは、現在Microsoftが開発中の次期モバイルOS「Apollo」(開発コード名)、あるいは仮称として「Windows Phone 8」では、技術基盤の「Windows 8」との共用化が進められるという噂があり、これにともなってWindows開発チームがWindows Phoneプラットフォームもまた自身の制御下に置こうとしているのではないかというものだ。現在のWindows Phone 7/7.5は、Windows 7/8で利用されるWin32やWinRTといったAPIセットとの互換性がなく、それが開発者にとって負担となっている。これを共通化しようというのがApolloでの目標の1つとみられ、今回の人事はその内部的な動きを反映したものである可能性があるというのだ。