厚生労働省の中央社会保険医療協議会は2日、同省が提案した保険薬局などにおける一部負担金の受領に応じたポイントの付与について、専らポイントの付与及びその還元を目的とするポイントカードについては、ポイントの付与を認めないことを原則とする案を了承した。

一部の保険薬局において、保険調剤に係る患者の一部負担金の支払に応じて、ポイントを付与する事例が散見されるようになったことについて、厚労省では、こうした事態に対応するため、2011年1月19日付で、以下のような趣旨の通知を出した。

  • 健康保険法などにおいては、いわゆるポイントの提供や使用自体を規制する規定はないが、ポイントの提供や使用が一部負担金の減額に当たる場合があれば、これらの規定に違反する

  • 患者が保険薬局などを選択するに当たっては、保険調剤などに係るポイントの提供やそれを強調した広告といった経済的付加価値によらず、薬担規則に基づき、保険薬局などが懇切丁寧に保険調剤などを担当し、保険薬剤師らが調剤、薬学的管理及び服薬指導の質を高めることなどによりなされるべきである

だが、ポイントの付与やその広告は継続されており、先般の中医協においても、これを問題視する指摘があった。

厚労省では、2日の中央社会保険医療協議会において、保険調剤においては、調剤料や薬価が中医協における議論を経て公定されており、これについて、ポイントのような付加価値を薬局が独自に付与することは、医療保険制度上、ふさわしくないのではないかとの考え方を示した。

また、患者が保険薬局を選択するに当たっては、保険薬局などが懇切丁寧に保険調剤などを担当し、保険薬剤師等が調剤、薬学的管理及び服薬指導の質を高めることが本旨であり、適切な健康保険事業の運営の観点から、ポイントの提供などによるべきではないのではないかとの考え方も示した。

同省では、こうした考え方に基づく今後の対応案として、一部負担金などの受領に応じて、専らポイントの付与及びその還元を目的とするポイントカードについては、ポイントの付与を認めないことを原則としてはどうかと提案し、同協議会で了承された。

一方で、現金と同様の支払い機能を持つ、クレジットカードや、一定の汎用性のある電子マネーによる支払に伴い生じるポイントの付与は、これらのカードが患者の支払の利便性向上が目的であることに鑑み、やむを得ないものとして認めることとしてはどうかともし、こちらは認められることとなった。

これらについては、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」及び「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」を改正することとし、各薬局等における準備期間も必要であることから、施行は2012年4月1日にすることとなった。