今秋の提供開始が予告されているAppleの「iCloud」サービスだが、Appleが1億5,000万人ほどのサービスユーザーを抱えることになるとアナリストが指摘している。これは既存のiPhoneユーザーへのアンケートで76%のユーザーがiCloudの利用を検討しているとを回答したことを受けたもので、これを逆算しておおよその契約者数予想を出したものとなる。

同アンケートを実施したのはカナダのRBC Capital Marketsで、レポートの内容はCNETが報じている。RBCは1,500のiPhoneユーザーに対して、iCloud/iOS 5などがWWDCで発表された直後にあたる6月7日から14日までの1週間にわたってアンケート調査を行い、前述のような結果を報告している。またAppleの新サービス「iMessage」についても73%が利用を検討しており、iCloudとほぼ同数のユーザーをAppleが抱える可能性を示唆している。また年額24.99ドルのiTunes Matchについても30%のユーザーが利用を検討しているといい、比較的高いロイヤリティ環境をAppleは得られる可能性が高い。単純計算でいえば、年額15億ドルの収入がiTunes MatchだけでAppleに入ってくるからだ。

データセンター拡張に膨大な投資を行っているAppleだが、iPhoneユーザーやMacユーザーが実際にこのアンケートどおりの水準でサービスを利用するのであれば、それ相応のリターンを得ることが可能になる。過去にオンライン系サービスでの成功がほとんどみられなかったAppleにとって、これは非常に大きなステップアップだ。

だがiCloudについては1つ、やや残念なニュースが出ている。AppleでiCloud担当シニア製品マネージャだったJohn Herbold氏が同社を去り、米テネシー州ナッシュビル郊外のブレントウッドにあるHealthTeacherという企業へと移籍するという。この件はPC Magazineなどが21日(現地時間)に同氏のLikedInのステータスとして報告している。HealthTeacherはK-12、いわゆる小中高など高等教育前の教師を対象にしたヘルスケアのための教育カリキュラム機関だ。氏はAppleで必要十分なことを成し遂げ、次のステップに向けて新しい業界へ飛び込む旨の報告をLikedInの中で行っているという。同氏がなぜヘルスケア分野を選択したのかについては、自身のBlogの中で説明されている。同氏はすでにiCloudが製品としては完成したとしているが、ローンチ前の段階で製品担当者が会社を抜けるというのは、今後のAppleの主力製品とみられるだけにやや残念な印象を受ける。とはいえ、Herbold氏自身については、今後の新分野での活躍を祈りたいところだ。