手帳・実用書の高橋書店が主催する「第14回手帳大賞」発表表彰式が、21日に都内で行われた。「思わずメモしたくなった『身近な人の名言・格言』部門」の大賞と、「手帳・日記・家計簿の商品企画部門」の最優秀企画賞が発表されたほか、会場には同社が展開する手帳などの新商品も多数並んだ。

第14回手帳大賞の「思わずメモしたくなった『身近な人の名言・格言』部門の受賞者たち

本年度は、両部門合わせて2万5,000通近く応募作品が寄せられた。コラムニストの泉麻人氏、作家の椎名誠氏、俳人の黛まどか氏らによる審査の結果、名言・格言部門の大賞には、福岡県在住の主婦・高岡はるみさんの「土の中に絵の具があるのかな」が選ばれた。

大賞に選ばれた高岡はるみさんの作品は、幼稚園児だった息子の発言から生まれたもの

同社の代表取締役社長・高橋秀雄氏から表彰状を受け取った高岡さんは、作品が生まれた背景を、「初めてマイホームを持ったとき、庭にいっぱい花を植えました。それを見て、当時幼稚園に通っていた息子が言ったのが、この言葉です。毎年、春が来るたびに息子の言葉を思い出し、今年で34年が過ぎました」と説明。「この言葉を(大賞に)選んだ下さった審査員の皆様と高橋書店の皆様、そして息子に感謝したい」と受賞の喜びを語った。

泉麻人氏は、名言・格言部門の審査員賞「自分を探す暇があったら自分を磨く」を、「"自分探し"が軽々しく使われる風潮を批評したうまい言葉」と評価

椎名誠氏は名言・格言部門の受賞作品について、「センシティブな感性から生まれた言葉、僕が思うよりもっと深い意味を持つ言葉があることを強く感じた」

「『万葉集』では、天皇から名もなき人まで、多くの歌を集めている。手帳大賞の名言・格言も、平成の『万葉集』になるかもしれない」と黛まどか氏

商品企画部門の最優秀企画賞に選ばれたのは、都内在住のフリーデザイナー・高原荘榮さんの「余白がたくさんある手帳」と、千葉県在住の会社員・前田千春さんの「じぶん仕様手帳」の2作品。

「手帳・日記・家計簿の商品企画部門」の最優秀企画賞を受賞した前田千春さん(左)と高原荘榮さん

高原さんが企画したのは、スケジュール帳の余白を積極的に活用し、たくさんメモしたい人のニーズに応えようとするもので、「このような新しいフォーマットが、市場で受け入れられるかわからないが、少しでも商品化の力になれれば」と話していた。

前田さんは、バーティカル記入形式の欠点といえるメモスペースの少なさを克服した手帳を企画し、昨年の優秀企画賞に続いて2年連続の受賞。「昨年この会場で、『もっと万人受けする手帳なら、最優秀企画賞を狙えたかも』『2年連続受賞の人はいないから頑張って』というお話をいただき、調子に乗ってしまいました(笑)」と語った。

最優秀企画賞が選出されたのは、第5回以来、9年ぶりの快挙。高橋社長も、「このアイデアをもとに研究を重ね、ぜひ来年の新商品のラインナップに載せていきたい」と、早くも商品化に意欲を見せていた。

過去の最優秀企画賞を商品化した、リンクアップ式の「リシェル」。週間予定表に十字で区切ったスペースを設け、複数の予定や項目を記入できるようになった

過去の最優秀企画賞から生まれた「かんたん・かけいぼ」

B6サイズ手帳の新シリーズ「シャルム」も会場に展示された

会場には、過去の最優秀企画賞を商品化した「かんたん・かけいぼ」とリンクアップ式の手帳をはじめ、手帳・実用書を多数展示。B5判バーティカル式の「デスクダイアリー」、月間予定表をブロックにした「リングダイアリースリム」などの新商品や、B6サイズ手帳の新シリーズ「シャルム」の商品も紹介された。