Windows 7の好調な出だしに喜びの声が聞こえるMicrosoft周辺だが、熱狂から一段落ついた今週に入り、同OSを利用したハッキング報告を掲載するBlogに対して警告メッセージを送付し始めているという。そのハッキング内容とは、Windows 7のアップグレード版をクリーンインストールする方法だ。米ChannelWebが28日(現地時間)に報じている

日本でのWindows 7の価格だが、例えばHome Premiumの通常版が24,800円なのに対し、アップグレード版は15,800円となっている。ほかのProfessionalやUltimateも含めて差額はおおよそ10,000円前後になっており、値段的にお得だ。米国ではHome Premiumの通常版が199.99ドルに対し、アップグレード版が119.99ドルと日本より安めの設定となっているが、その差額がだいたい100ドル前後の水準にあることは変わりない。確かに、もし旧バージョンの購入がアップグレード版で必要ないというなら、通常版を買う理由がないだろう。これらBlogでは、こうしたWindows 7のアップグレード版のみでクリーンインストールする方法が記されている。

だが米Microsoftのワールドワイドパートナー部門でグローバルパートナーエクスペリエンスのリードを務めるEric Ligman氏は「できるという話とやっていいという話は別だ。適切なライセンスなしでの製品の使用は100%違法となる」とのコメントをハッキング報告を行っているBlogオーナーに対して次々と送付し、警告している。同氏は公式Blogの投稿で図版つきでライセンスの概念を説明し、アップグレード版ライセンスはアップグレード対象となる本体の製品のライセンスがあって初めて有効となる点を強調する。

ただし、こうしたやり取りがBlog群とMicrosoftとの間で交わされるのはこれが初めてではない。2年前にWindows Vistaがリリースされたとき、やはり同様のテクニックでアップグレード版の認証をかわし、クリーンインストールを成功させる方法が発見され、Microsoftが火消しにまわっていた事例がある。そのときもLigman氏はやはりまったく同じ図版と書き込み内容を用いて違法性を訴えている。だが一方で、Windows VistaのケースではMicrosoftがわざとクラッキング行為を見逃し、Windows Vistaの販売底上げを狙っていた可能性があると指摘する声もあった。その理由の1つは、同社が2008年春にVistaのSP1をリリースした際、認証回避テクニックを潰すことが可能だったにもかかわらず、あえて導入しなかったことにあるという。