IBMは、通信/ストレージ/民生/航空/軍事といった組み込み用途向けSoCをターゲットとした、これまでで最高性能となる「PowerPC 476FPコア」を発表した。PowerPC 476FPはIBMと米LSIの共同開発によるものであり、LSIはこのコアを同社のネットワーク向け次世代マルチコア製品に採用の予定である。
PowerPC 476FPコアは動作周波数が1.6GHz以上で、2.5DMIPS/MHzの性能を持つ。これはIBMがこれまで組み込み向けに提供してきたPowerPCコアの2倍以上の性能にあたる。このコアはまたIBMのPower Architectureにそった従来の製品にスケーラビリティを提供することにも繋がる。この性能は、例えば4GやWiMAXの基地局といった、今後ニーズが高まるマーケットに最適であるとIBMではしている。
PowerPC 476FPはIBMの45nm SOIプロセス上で製造され、ダイサイズは3.6mm2、消費電力は1.6Wとなっている。また、マルチコア構成を可能とするIBMのCore Connectローカルバス(PLB6)をサポートしている。ソフトウェアの面ではIBMがこれまで提供してきたPowerPC 4xxファミリと共通であり、従来のソフトウェアをそのまま再利用しつつ、性能向上を享受できる。
一方のLSIはPowerPC 476FPコアに密結合する形のL2キャッシュを提供する。これは256KB/512KB/1MBの3種類のサイズを選択可能である。
PowerPC 476FPコアとL2キャッシュ、それにPLB6の組み合わせにより、SoC設計者は容易に最大16コアまでのマルチプロセッサ構成が設計可能となる。PLB6は同時に最大8つの転送を可能としており、このPLB6上に構成したバスファブリックに、さまざまな周辺回路やプロセッサ、その他アクセラレータを接続可能である。消費電力が1.6Wであることから、空冷を必要とするアプリケーションにも、PowerPC 476FPを搭載したSoCが利用可能である。これは特に航空/軍用用途に適しているという。
PowerPC 476FPのハードコアは2009年10月からデザインに利用可能であり、量産は2010年第4四半期を予定している。また2010年第4四半期にはSynthesizableなソフトコアの提供も予定している。