大ベストセラーとなった同名小説の映画化『ダ・ヴィンチ・コード』で使用された撮影セットが競売に出されている。セットの販売を表明したのは、イギリスのロンドン北部にある街リンカーンの中心に位置するリンカーン・カテドラル(Lincoln Cathedral)。同所は2005年8月、ダ・ヴィンチ・コードの劇中で登場するウェストミンスター大聖堂(Westminster Abbey)として使用されたもの。販売対象となるのは柱の間に設置された壁掛けのフレスコ画43点と、木と石膏で作り上げられた彫像のモックアップ5点の2種類。個々の品の写真はWebサイトで確認できるほか、高解像度の画像を収めたCDを10ポンド(約2,100円)で提供しているという。現地に直接赴いての現物の確認も可能。興味ある貴方はぜひチェックしてみてほしい。
ダ・ヴィンチ・コードはパリのルーブル美術館で起きた殺人事件を皮切りに、レオナルド・ダ・ヴィンチの名作「最後の晩餐」に隠された秘密を巡るミステリー小説。2006年にトム・ハンクスとオドレイ・トトゥ、イアン・マッケランの主演で映画化されたものの、その設定や展開を巡る内容がキリスト教を冒涜したものであるとし、カトリック総本山から非難の声明が挙がるなど、いろいろな意味で話題作となった。映画の設定で登場するウェストミンスター大聖堂は、ロンドン中心部のテムズ川沿いに建つイギリス国教会のシンボルで、歴代のイギリス王や著名人など多数が埋葬されている世界遺産の1つ。映画の撮影にあたっては、同じゴシック調の外観を持つリンカーン・カテドラルが選ばれたものとみられる。
映画の撮影に用いられたリンカーン・カテドラルだが、その歴史はウェストミンスター大聖堂と同じ11世紀ごろまでさかのぼる。数百年にわたって改築や増築が行われ、現在までその姿を残している。ジョン王で有名なマグナ・カルタ(大憲章)の現存する4枚のコピーのうち、その1つが保管されていた場所でもある。英国メディアの報道によれば、リンカーン・カテドラルは同映画の撮影に際し、制作サイドから10万ポンド(約2,100万円)を受け取ったと言われている。現在では撮影も終了してセットは取り払われ、販売許可も与えられた状態になっている。
オークション参加の申し込み受付は3月31日が締め切り。リンカーン・カテドラルのページには、参加条件や応募要項を記したPDFファイルが公開されている。実物は現地で確認可能なほか、画像を記録したCDの配布も行っている。
リンカーン・カテドラルによれば、映画の公開後、ロケ地を訪れる観光客で同所もにぎわっているようだ。大ヒット映画への協力は、観光のアピールには最適だったようだ。また2008年公開予定の『The Young Victoria(原題)』の撮影が、やはり2007年夏に同所で行われていたという。映画ファンにとっては、いまイギリスで一番ホットな観光スポットの1つかもしれない。