米Dellと米Wal-Mart Storesは5月24日(現地時間)、Wal-Martが北米に持つ3500以上の店舗でDell製PCを販売する契約を結んだと発表した。最初に投入されるのはデスクトップPC製品2機種で、一部を除く3000以上の店舗で6月10日より販売が開始される。効率重視の直販モデルを掲げるDellにとって、コンシューマ市場で大口チャネルパートナーと再販売契約を結ぶのは異例のこと。その背景に、PCの世界販売でHewlett-Packard(HP)に首位の座を奪われたことが考えられる。今回、強力なパートナーの協力を得、失地回復を目指す。

今回提供されるデスクトップPC 2製品は、どちらもアプリケーションのバンドル込みで700ドル以下のバリュー価格帯を狙ったものとなる。製品の1つはDellのDimensionをベースにしたマルチメディアモデルで、Wal-Martオリジナルの製品構成となり、米国ならびにプエルトリコの3400店に向けて出荷される。2つめのモデルについても、やはりWal-Martオリジナルの製品構成となり、こちらは3000店舗での提供となる。その他のWal-Mart店舗、例えばSam's Clubならびにカナダ内のWal-Mart店舗向けには、今回の2製品とは異なるオリジナルモデルが順次提供される見込みだという。

直販モデルを重視するDellでは、1990年代にPC販売で首位に躍り出て以降、特にコンシューマ市場においてチャネルパートナーとの大口契約による再販売は行っていなかった。だが、AppleによるApple Storeの成功や、店頭での存在感からコンシューマ市場で大躍進を果たしたHPなど、近年では小売店を活用した販売戦略が大きな鍵となりつつある。こうした経緯もあり、Dellはショッピングモールを中心に出張店舗を用意したり、Apple Storeの形態を踏襲した実験的な直営店舗を米テキサス州ダラスに構えるなど、コンシューマ市場開拓のためのさまざまな方策を探っている。今回、世界最大の小売業者であり、北米各地に大型店舗を持つWal-Martと提携したことにより、小売店活用の新たなスタイルを見つけ出したことになる。