【特別企画】

「dynabook Quality」の要を担う東芝・杭州工場訪問記 - 「触ってすぐ、キーボードが良くなったとわかった」

1 自社生産体制で「長く使えるPC」を

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東芝クライアントソリューションが一般コンシューマー向けのdynabookを刷新、新生「Tシリーズ」が2016年秋モデルとしてデビューした。PCの買い替え周期が長くなっているトレンドを踏まえ、「dynabook Quality」として高い性能、低い故障率など、あらゆる点で品質を追求、長く使えるPCを目指すという。これに伴い、これまで1年だったメーカー無償保証期間を2年に延長している。製品の品質に自信がなければこんなことはできない。

杭州に国内工場と同レベルの生産拠点

実は、品質で高い評価を得ている東芝の企業向けPCは、中国の杭州にある生産拠点、東芝情報機器杭州社 (TIH) で作られている。新生「Tシリーズ」からは、企業向けPCと同じこの拠点で生産が行われる。

東芝情報機器杭州社 (TIH)。敷地面積は173,000平方メートル。建屋は1Fと2Fで46,000平方メートル、東京ドームと同等の工場延床面積を持つ

日本では国産であることがある種の付加価値としてとらえられるが、東芝はあえて、それを中国・杭州の地に移した。近年、多くのPCメーカーが協力企業に生産を委託するODM方式を採用してきた。dynabookもBtoC (一般コンシューマー向け) 製品の一部でODM生産を行っていたが、今秋モデルから、日本国内に匹敵する質の高い自社生産体制を杭州の地に実現。ODMへの委託ではかなわなかった細かい配慮が製品作りに反映できるようになったという。自社で商品企画から設計、製造までを一貫して徹底管理、部品の選別や品質のチェックまでをも自社でまかなう体制だ。

新しい「dynabook Tシリーズ」は、Tシリーズとしては初めてこの体制で生産された製品だが、ちょっと触ってみるだけで、細かい気配りを感じることができる。

たとえば、キーボードのキートップ。約0.2mmの凹みを持たせたものにすることで、指の滑りがほとんどなくなり、吸い付くようにタイプができる。その違いは、従来モデルと並べて30秒間使ってみるだけで実感できる。企業向けPCでは当たり前だったこのキートップが一般消費者向けPCにも採用されることになったのだ。

7月に発売された「dynabook Tシリーズ」。Tシリーズとしては初めてTIHで生産された製品だ

物流面だけでなく、優秀な人材確保にも有利

杭州市は、日本からの直行便で約3.5時間、上海まで新幹線で小1時間。中国国内における八大古都のひとつだ。世界でもっとも華麗な街として知られている。また、西湖が世界遺産になっていることでも有名だ。気候的には東京近郊の八王子や甲府といったところか。観光都市でもあり商業施設も充実、治安はとてもよく、中国の中でも伸びている地域だ。

TIHは40数カ国の約800社が集まる杭州経済技術開発区にある。周辺には中国企業3,300社が進出し、海外企業がビジネスしやすいエリアを構成している。そして、東芝情報機器杭州社は輸出加工区の中にある。この輸出加工区という地域は海外と同じ位置づけになっており、中国国内で生産されたパーツ類は税関を通ったあとでTIHに入る。つまり、部品のサプライチェーン的にきわめて好都合なのだ。

杭州市内の様子。訪問したときはG20の開催を間近に控えていた

この地域は日本でいうところの東大クラスに相当する浙江大学などがあり、優秀な技術者の確保においても有利だ。TIHの従業員は1,572名 (2016年7月現在)、そのうち日本人駐在者数は開発部門も含めて13名。物流関係に2名が赴任している。従業員のほとんどは中国人だが、もちろん東芝の独立資本で、まさに東芝そのものだ。

TIHのチャレンジは「東芝人」の育成だ。中国は今、少子化などの影響で優れた人材の採用が難しくなっている。また、短期で仕事を移る労働者が多く、人材育成のネックにもなっている。だが、TIHは中国国内15の学校に「東芝クラス」を設けるなど新卒採用に注力し、優秀な人材を確保している。それが功を奏して、離職率も中国平均の半分くらいに留まっている。入社後も「東芝人」として高い意識を持って勤務できるように、さまざまな面で育成に気を配っている。

東芝情報機器杭州社 総経理(社長)の中原泰氏。TIHの概要や工場内を丁寧に説明してくださった

現地で採用した優秀な人材が「東芝人」として自発的に動く

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インデックス

目次
(1) 自社生産体制で「長く使えるPC」を
(2) 自社採用して育てた「東芝人」が100%
(3) BtoBとBtoC、設計ノウハウのシナジーに期待

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