PCを購入するきっかけは様々だ。動画や写真をストレスなく編集したいという人もいれば、インターネットと事務処理ができればOKという人もいるだろう。またPCゲームを遊びたいという需要も根強い。しかし、需要としておそらく最も多いというか、理想の形は「予算の許す限り、どんな用途にも対応できるようにしたい」ではないだろうか。なんでもできるPCとは、すなわちすべて「普通より上」というPCでもあるので、当然のことながら問題点は「コスト」と「スぺック」のバランスになる。快適な環境を実現できるスペックを自分で判断できるユーザーならば、この要求を満たすために自作するという手もあるかもしれないが、その都度スペックを調べるのも組み立てるのもなかなか手間がかかるものだ。

そんなクリエイティブ用途にもゲーム用途にも使えるコストパフォーマンス機を探しているユーザーに向けて、PCパーツの老舗ショップであるTSUKUMOが企画したPCが「エアロストリーム RM7J-Z61/E」。税込10万円以内という価格のなかで、グラフィックスカードにASUS製の「AMD Radeon R9 280」を搭載しているという驚きのPCだ。今回は、BTOカスタマイズでCPUにCore i7-4790が搭載された「エアロストリーム RM7J-Z61/E」を確認したいと思う。またこのコストパフォーマンス機が生まれた経緯をインタビューしたので、合わせてお伝えしよう。

標準構成ならば92,500円(税別)で購入できるスペシャルモデル

ミニタワーケースを採用した「エアロストリーム RM7J-Z61/E」

最新のCPUとASUS製グラフィックスカードを採用

ASUSとTSUKUMOにこの製品が誕生した背景を伺う前に、スペックとその実力を確認しておこう。「エアロストリーム RM7J-Z61/E」は、税込9万円台で購入できるデスクトップPCだ。マザーボード自体が十分なオンボード機能を備え、拡張スロットへデバイスを追加する必然性が減った昨今の事情を踏まえ、Micro-ATXサイズのミニタワーケースを採用している。CPUは、仕様機ではBTOカスタマイズにてIntelの"Haswell Refresh"Core i7-4790を搭載している。標準構成ならば、Core i5-4460だ。写真の現像や動画編集ならばハイパースレッティング・テクノロジー(HTT)を搭載したCore i7が有効だ。しかしゲームが主眼ならばHTTによって効果が得られるタイトルはまだ少ないため、Core i5は非常にコストパフォーマンスに優れた選択といえる。金額差は12,960円(8月5日現在)と小さくないため、コストを考えて選びたい。

ケース前面の様子。ケース中央にある銀色の半月型のスイッチが電源ボタンだ。同位置のカバーを開けると、USB2.0や音声入出力端子にアクセス可能

ケース背面の様子。ミドルタワーケースだけあって、拡張スロットは4つだ。うち2つがグラフィックスカードによって使用されている

ケース左側面の様子。サイドパネルに開口部は存在しないので、騒音を漏らすことは無いだろう。前面パネルサイドには吸気用のスリットが確認できる

サイドパネルを開けたところ。サイズの大きなグラフィックスカードを搭載しながらも、すっきりとケーブルが取り回されており、エアフロー向上に一役買っている

最大のポイントは、グラフィックスカードに、昨年末に発売された「AMD Radeon R9 280」を採用していることだ。ゲームが快適に遊べるレベルのミドルレンジGPUといえば「NVIDIA GeForce GTX 760」が定番だが、一段階上の性能を備えた製品を選択している。スペックアップ分として冷却には気を使わなければいけないGPUだが、そこで「DirectCU II」クーラーを搭載したASUS製の「R9280-DC2T-3GD5」を選択しているのが本機の妙だ。Radeon R9 280自体の処理能力のみならず、DirectCU IIの高い冷却性能により動作クロックが引き上げられているため、グラフィックス性能には大いに期待が持てる。

AMD Radeon R9 280を搭載した、ASUS製の「R9280-DC2T-3GD5」。5本のヒートパイプで、発熱の多いRadeon R9 280から強力に熱を奪ってくれる

グラフィックスカード背面の様子。重量のあるCPUクーラーは、カードサイドに金具でしっかりと固定されている。ひときわ太い1cmのヒートパイプも見える

定番ベンチマークで「エアロストリーム RM7J-Z61/E」の性能を確認

この製品選びによって得られる総合的な性能を、まずは定番ベンチマークで確認してみよう。はじめに、Windowsの動作速度の指針となるWindowsエクスペリエンス インデックス スコアだ。Windows 8.1ではコントロールパネルから数値を確認できなくなっているため、Windowsシステム評価ツール「winsat」を実行し、スコアをGUI表示してくれるツール「WIN SCORE SHARE」を利用して計測を行った。グラフィックス2項目の数値は、R9280-DC2T-3GD5の性能が活かされた「8.5」。10万円台で購入できるPCとは思えない優れた数値だ。プロセッサは「8.4」と、Core i7-4790に変更した甲斐のあるスコア。各種編集作業でその能力が活かされるだろう。プライマリディスクはHDDのみであるため、「5.9」となっている。

Windows エクスペリエンス インデックス スコア

次に、Futuremarkの定番ベンチマーク2本、「PCMark8」と「3DMARK」を試してみよう。PCMark8の「Home accelerated」の数値は、Windows エクスペリエンス インデックス スコアと同じ傾向が見える。いずれの数値も高く、特にCasual Gamingのfpsが際立っている。そしてストレージがHDDのためか、Benchmark durationが長めだ。3DMarkの「Fire Strike」では、Graphics Test、Physics Testともに30fpsを超えてきており、グラフィックス性能の高さが伺える。

Futuremark PCMark8 Home accelerated 3.0

Futuremark 3DMARK

Fire Strike1.1

Fire Strike Extreme1.1

続いて、「CINEBENCH R15」の結果を見てみよう。オーバークロックされたRadeon R9 280が実現するOpenGLの結果はご覧のとおり。CPUの数値も、HTTによる8スレッドの効果がはっきりと確認できる。高いレベルで安定した処理能力が確認できた。

CINEBENCH R15

テスト結果から伺えるグラフィックス性能は、さすがの一言だ。10万円以下でこのグラフィックス性能が手に入るのは非常に魅力的だろう。またBTOカスタマイズでi7-4790が選択されている成果があり、CPU性能も非常に高い。次ページではさらに詳しくハードウェアを見ていきつつ、CPUやゲームのベンチマークを試していこう。