TVやコンサートの舞台装置として、近年はLEDビジョン(モニタ)が躍進。その開発から運用までを手がけるテルミックは、現場で使うワークステーションのストレージに悩まされていた。性能が足りず故障率も高かったHDDに替えて、SSDを導入したところ、さまざまな業務領域が劇的に改善したという。

イベントを魅力的にする演出効果に欠かせないLEDビジョン

我々がいつも楽しんでいるTVやコンサートに欠かせないのが、舞台やステージを華やかに彩る視覚効果だ。特に近年では、舞台に巨大なモニタが設置され、各種イベントの演出に合わせた映像や画像、CGなどを用いることで、よりエンターテインメント性が高くなっている。

LEDの発色を組み合わせることで、LEDらしいライトショー的な視覚効果を表現できるだけでなく、リアル動画の再生も行える

そんなイベント向けの電飾製品をプランニング、設計・開発、製造・販売、施工、制御、操作・保守にいたるまで幅広く手がけている企業が株式会社テルミック(以降、テルミック)だ。「弊社は埼玉の吉川市に工場を持っているので、設計、開発はもちろん、製造まで各種製品を一から作り出せるところが強みです」と語るのは、テルミックの取締役 情報システム部長 三井政隆氏。

テルミック 取締役 情報システム部長 三井政隆氏

「TVやコンサートなどのイベント業界に参入しようとした当時、視覚効果に用いられる電球がLEDへと変化していった時代でした。その過程で、LEDを組み合わせたLEDビジョンの原型のようなものができてきたのです。当然そうなると、そこに映像も流したいというニーズが出てきますから、映像関連サービスの提供も手がけるようになったのです」と、同社が歩んで来た状況を語る三井氏。氏の言葉にあるように、現在ではさまざまな形状のLEDビジョンを制御するシステムや映像制作なども行っている。

テルミックが手がけるイベントは、大規模なコンサートからテレビ局のスタジオまで、シチュエーションもさまざまだ。観客の視点としても、遠くから舞台を見ることもあれば、演者のすぐ後ろにLEDビジョンがあるようなケースまで、設置状況に合わせた映像の描画が必要になる。「演出に沿った効果を最大限に発揮できるよう、CGも手がけるようになったのです」と三井氏はいう。

さらに近年はLEDビジョンのLED密度なども高くなり、描画能力が上がってきている。「見てくれる人の目も厳しくなり、さらに良質な表示や演出、コンテンツが求められるようになっているのです」と三井氏は語る。例えば、LEDビジョンに映し出される映像がカクついてしまうようでは、せっかくの演出も台無しになってしまう。同社では、高度化するニーズに合わせたシステム作りも求められているのだ。

同社の代表的な製品「Win Vision」と映像送出システムの概略図

演出内容に沿った高品質な視覚効果を提供

テルミック 技術製作部 CG担当 課長 村上雅洋氏

「LEDを使った映像は、照明とぴったりタイミングを合わせるなど、演出に沿ったものが求められるのです」と語るのは、CG制作を担当しているテルミック 技術製作部 CG担当 課長の村上雅洋氏。一般的な動画をただ流すのではなく、歌い手の動きやリズムに合わせた演出にマッチする映像でなければならない。それには映像制作の技術はもちろん、送出する機器類のノウハウなども必要になる。テルミックは、自社ですべてを完結できるメリットを生かして、専用機器を開発するなどして対応、ニーズに見事応えているのだ。

そんな同社では、映像の送出や制御にワークステーションを活用している。「基本的には、ワークステーションから送出された映像がLEDビジョンに描画されます。舞台の位置や演出に合わせて、映像を制御しています」(村上氏)。ワークステーションに求めるものは、処理能力やグラフィックス能力の高さ、信頼性などももちろんだが、ストレージ性能の高さと安定性がとても重要とのこと。村上氏は「最も負荷が掛かるデバイスはストレージです。スペックの向上を図りたいのはまさにそこなのです」と語る。

「特に読み出しの速さ次第で、送出される映像の品質が決まります。CPUやグラフィックスは能力が高く、信頼性が担保できればよいのですが、ストレージに関してはより速く、より安定したスペックが常に求められます」(村上氏)とのこと。各種イベントで使われる映像は、ひとつの大きなデータとなる。読み出しが速ければ、それだけ負荷の高い映像でもスムーズにLEDビジョンに送ることができるのだ。

Win Visionを接写すると、LEDが細かく並んでいる様子がよく分かる。用途に合わせていくつかの製品がラインナップされている

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