ニコニコ動画にYouTube……、高速回線が定着したことでネット動画が一般的になり、iPhoneやデジカメの動画性能もアップして、一般人でも気軽に動画制作ができる時代になった。

特にニコニコ動画には、国内のクリエイターたちがプロ・アマ問わずこぞって作品を発表しており、動画で何かを表現するにはぴったりのプラットフォームなのだ。

さて、そうなると、やっぱり個人的にはこう思うのである。

「自分も動画を作りたい!」

……と。
ただし、この威勢のいい言葉には省略した注釈がある。正確にいうと、こうだ。

「自分も(できるだけ簡単に、それでいて高品質な)動画を作りたい!」

なのである。

しかし、そのためのソフトを探しても、これまではなかなか満足いくものがなかった。シンプルなソフトだと機能性に不安があるし、なんでもできる高機能なソフトだと、逆に使い方がややこしすぎて初心者にはまったく向かないのだ。

個人的に昔、ちょっとした動画を作ったことがあったのだが、そのときも結局はやれることは少ないけどシンプル、というソフトに落ち着いた。

そんな折、使いやすさと高機能を両立できるソフトがあるという話を、編集のMさんから聞いた。そんなこと、本当に可能なのか?

半信半疑で使ってみることにしたソフトが、「Movie Pro MX」である。ではさっそくこいつを使って、旅行記を作ってみることにしよう。去年、チェコを旅したときのものなのだけど、写真とビデオが大量にたまっていて、これを動画にまとめたら、人にも見せやすいなと思っていたのだ。これがサクっと作れるようなら、これまでは面白い作品を探すだけだったニコニコ動画で、自分自身の手で面白いボカロPVを作って公開し、ニコ動ユーザーをアッといわせてやりたいところだ。噂によると、実際にこのソフトが使われているボカロPVもあるらしい…。

シンプルなユーザーインタフェースで直感的な操作が可能

まずは「Movie Pro MX」を起動し、新規プロジェクトを作成する。ちなみに今回はマニュアルの類を一切読まずに動画制作に挑戦している。これは、「わかりやすさ」を売りにしているのなら、マニュアルなしでもすぐ使えるはずだという、僕からソフトへの挑戦状なのだ(本当は面倒だっただけ……)。

さて、「Movie Pro MX」で動画制作をするためには、当然素材になる映像や写真、音楽が必要だ。これは右上の「インポート」から入れることができる。今回、制作した動画はニコニコ動画に投稿することを目的とし、動画と写真は自前、BGMと効果音はニコニ・コモンズからお借りすることにした。

最初に同ソフトを起動するとこのようなインタフェースが

Movie Pro MX」の画面は大きく分けて3つのエリアから成っている。右上が素材をインポートしたり、文字の大きさやフォントを変えたりする編集エリア。そして映像をプレビューしたり、編集エリアで変えた文字を確認したりするのが、左上のプレビューエリア。最後に画面下部の横長の部分が、素材を入れて動画を作っていくタイムラインエリアである。

このたった3つの組み合わせだけで、本格的な動画がサクサク作れてしまうというから驚きだ。

素材をインポート

まずは右上に素材を読みこむ。「インポート」からビデオアイコンをクリックし、任意のフォルダを選択。出てきた動画の中から今回使うものを選んで、画面下部のタイムラインエリアにドラッグ&ドロップする。

トラックに素材をドラッグ&ドロップ

タイムラインは、左から右にかけてが動画の時間軸となり、各トラックに素材を入れて重ねていく。例えば、上の画面だとトラック1に写真が、トラック3にBGMが入っている。これを再生すると「写真が表示され、同時にBGMがかかっている」という動画ができ上がるというわけ。画像処理に詳しい人なら「レイヤー」というとわかりやすいかも。ちなみに各素材のことは、「オブジェクト」と呼ぶ。

オブジェクトを配置して動画を組み立てていく

基本的にトラックの使い方に制限はないので、好きなようにオブジェクトを追加して、どんどん重ねていこう。ただ、むやみにトラックを増やしても、ややこしくなるだけだったので、「動画はトラック1」「BGMはトラック2」のようにマイルールを決めておくといい。

各オブジェクトはいったん配置したあとも、つまんで移動したり、削除したり、コピー&ペーストしたりと柔軟に編集できる。長さも自由に変えられるし、オブジェクト同士の端っこを重ね合わせることで、フェードイン・フェードアウトでの切り替え効果なんかもつけられる。これこれ! こういうことがやりたかったの!