どれだけ軽くて小さくても、快適に利用できないのでは意味がない。外出先でもデスク上でも、さっと開いてすぐに使えることを重視する筆者にとって、「New XPS 13」は魅力的なマシンたりうるのか。Windows 8を搭載してリニューアルした新モデルで、その実力をチェックした。
中山一弘
編集プロダクション エースラッシュ代表。IT系の媒体を中心に、製品レビューや導入事例などの記事執筆・コンテンツ制作を行なっている。その一方で、アウトドア系雑誌への寄稿などの幅広い活動もあり、一部では「釣りするIT系ライター」とも呼ばれる。
シンプルで仕事をしやすいUltrabook
デルのUltrabook「XPS 13」が進化した。春に登場した初代モデルの外観は引き継いだまま内部的なスペックの向上を行い、OSにWindows 8を採用するという形でアップデートされている。春にこの製品が登場した時点でも注目していた筆者にとって、このアップデートは朗報だ。
Windows 8といえばタッチパネルという印象も強いが、個人的にはまだまだ使い慣れたマウスでの操作の方が効率がよいと感じている。特に筆者の場合、ドキュメントの作成や資料の閲覧といった使い方を基本としているため、どうしても従来のPCのスタイルでの快適さを求めてしまうのだ。デルでは新しいスタイルのPCを求めるユーザー向けにはタッチパネル対応の回転式Ultrabook「XPS 12」も用意しており、この「New XPS 13」についてはシンプルで仕事をしやすいUltrabookとして、はっきりターゲットを分けているのがよい。
シルバーのトップカバーと黒いキーボード面というシンプルなデザインで、全体的な凹凸が少なく、角が丸く加工されている。このスタイルは鞄からの出し入れでひっかかることもなく、オフィスやカフェで広げても目立ちすぎることもなく、筆者のようにそれなりの年齢の男が持つのに気恥ずかしいこともない。このあたりは春に登場した「XPS 13」が大人気となったことからもわかる。
CPUは第3世代Intel Coreになり、8GBメモリの選択肢が登場
さて、春に登場した時点での「XPS 13」は、プロセッサが第2世代のIntel Coreで、メモリが4GB固定だった。Ultrabookとして、けっして他の製品に劣るものではなかったが、発売から半年ほどが経過したいまの時点から見ると、「もう少し上」を求めたくなるようになっていたのは事実。そしてそんな要望に応えるように、Windows 8搭載とともに仕様が要所要所で強化され、今回の「New XPS 13」の登場となったわけだ。
実のところ、Windows 7が動作するほとんどのハードウェアでWindows 8は動作するとされている。ということは従来仕様の「XPS 13」でもWindows 8が問題なく動作したはずであり、今回の仕様アップデートはWindows 8の要求水準に追いつくための必要に迫られてのアップデートではなく、余裕を持たせるためのアップデートといえる。
新たに標準搭載されたプロセッサの第3世代Intel Core i5-3317Uで、最新世代のCPUとなったことで大幅に性能は強化された。スタンダード/プレミアム/プラチナと3グレード用意されるうちの最上位モデルとなるプラチナでは、プロセッサがIntel Core i7-3667Uとさらに上位のものとなる。まずCPUパワーに不満は出ないだろう。
メモリ容量はスタンダードモデルこそ4GBと春モデルと同じだが、プレミアム/プラチナでは8GBになる。負荷の高い作業もまず問題なくこなせる容量だ。筆者のように春モデルに物足りなさを感じていたユーザーにとっては、非常に魅力的な構成となっている。
スペックからは見えないSSDの快適さも抜群!
今回のWindows 8モデルでも春に発売されたモデルと同じく、SSDはスタンダードモデルが128GBであるのに対して、プレミアムとプラチナでは256GBと倍の容量になっている。「モバイル用のサブ機」としてではなく、「家やオフィスと同じ作業環境を外にも持ち出せるメイン機」として使うつもりなら、このくらいの容量は必須だ。
SSDは価格との兼ね合いで控えめな容量となることも多いが、速度を求めてSSD搭載マシンを選択しているのに、容量が少なくて使いづらいというのでは意味がない。快適に利用するためにも、256GBという選択肢が用意されていることは、すべての人がそれを選択するわけではないにせよ、重要だといえる。
しかもこのSSD、実際に使ってみると非常に快適に利用できることが分かる。SSDの効果を体感しやすいのがWindowsの起動だが、Windowsを起動した状態から「再起動」を行った場合は17秒弱でスタート画面が再表示されるという高速さ。通常の終了時に至っては、クリックした瞬間にシステムが終了するという印象で計測不可能だ。電源を入れるところからの起動も10秒弱で、これならストレスを感じることはないだろう。
とくに印象的なのは、電源ボタンを押したところからWindowsの起動まで待たされる部分がないことだ。SSDがいくら高速でもBIOSの読み込みが遅ければそこで待たされるものだが「New XPS 13」にはそれがない。チューニングがかなりうまくいっているのではないだろうか。
これなら終了・起動時間を惜しんでスリープ状態で持ち歩く必要すらないかもしれない。電車待ちをしている駅のホームでさっとメールチェックだけしたい――という時にもさっと起動してすばやく作業を終えられる。
チップセット統合のグラフィックスを使用しているため、3Dゲームなどはさすがにきついだろうが、映像観賞などは問題なくこなせる性能。Windows 8を搭載したことでどういう結果が出るかと不安に感じているユーザーがいるならば、その心配はない。利用感は非常によく、作業をしていてひっかかりを感じるようなこともない。がっつり仕事ができるUltrabookを探しているならば「New XPS 13」はお勧めできる仕上がりだ。
[PR]提供:デル