フリーランスのライターという仕事柄、取材や打ち合わせなどで日頃から移動が多く、海外を含めて出張も少なくありません。そのためモバイルPCは欠かすことのできないアイテム。どこへ行くにも常にバッグのなかに忍ばせています。以前はメイン機(デスクトップ)とサブ機(モバイル)を使い分けていましたが、数年前から1台のモバイルPCですべてをこなすスタイルに変えました。モバイルPCのスペックが飛躍的に向上したことで、複数のPCを使い分ける意味がなくなったからです。そのうえ、光学ドライブ、ポータブルHDD、ACアダプタ、マウスといった周辺機器の類は基本的に持ち歩きません。僕にとっては周辺機器を持ち歩くことで得られるメリットよりも、荷物が重くなるというデメリットのほうが大きい。仕事はフットワーク軽く動けるのがいちばんです。
また、最初にことわっておくと、僕はMacユーザーです。愛機はMacBook Airの11インチ。現在はこれ1台のみ。ディスプレイがもうすこし大きければ……と思うこともありますが、それ以外は特に不満はなし。一方Windowsのマシンは、自分では数年来所有しておらず、仕事でたまに触れる程度。そんな人間のレビューであることをご承知おきください。
榎本一生 Issey Enomoto
1976年生まれ。大学在学中からフリーランスのライターとして活動を開始。以来、グッズ誌、ファッション誌、ライフスタイル誌などの雑誌やウェブマガジンの執筆・編集を手掛ける。
想像以上に薄く、軽い。そして速い!
さて、前置きが長くなりましたが、編集部から送られてきた「New XPS 13」の箱を開けてみます。外箱となる黒い段ボール箱のなかにはもうひとつ、しっかりとしたつくりの内箱が緩衝材とともに収められていました。天面には筐体の写真のプリント入り。これがなかなかクールでかっこいい。たかが箱、されど箱。こういうところが気が利いていると俄然テンションがあがります。
フタを開き、いざ「New XPS 13」とご対面。手にとってみると、想像以上に薄く(最薄部6㎜、最厚部18㎜)、そして軽い(1.36kg)。削り出しのアルミ素材の天面は高級感があり、剛性の高さも感じられます。また、本体のベース部分には、カーボンファイバーの複合材が用いられています。これによって軽量性や剛性を高めるという機能的な意味があるのでしょうけれど、見た目にも美しく、手触りも気持ちいい。普段は見えないところへのこだわりが心憎い限り。
ディスプレイを開き、電源を入れます。起動、はやっ! カタログ上の数値では「起動時間は8秒以内」と書かれていますが、体感的にはそれ以上に速く感じました。最新のWindows機ってこんなに起動が速いんだと感心しつつ、13.3インチのディスプレイは大きいなぁと改めて実感。普段は11インチでも十分だと思っていましたが、ディスプレイは大きいに越したことはないですね。当たり前ですが。
所有するよろこびがあるモバイルPC
キーボードをカタカタと打ってみると、キータッチはすこぶる良好。そしてバックライトがついているのもありがたい。実際、バックライトがあるかないかで、十分な明かりが確保できない場所、たとえば飛行機の深夜便の機内での作業効率が大きく変わりますから。また、パームレストにはソフトタッチペイント仕上げのマグネシウム素材があしらわれていて、手のひらを乗せたときの感触がとても心地よい。天面に用いられた削り出しのアルミ素材の硬質な質感とのコントラストも好印象。
中身に関しても触れておきましょう。先述したように、僕は基本的に周辺機器などを持ち歩かず、1台のモバイルPCですべての作業をこなしています。ゆえに、モバイルPC自体のストレージ容量やバッテリ容量がとても重要になってくる。ストレージに関しては、「NEW XPS 13」のSSDは標準で128GBですが、256GBにアップデートしておいたほうがよいかも。バッテリに関しては、最大で8時間53分持つとのこと。それだけ持てば、外出先での使用には十分すぎるほど。よっぽどのことがない限り、わざわざACアダプタを持ち歩く必要はなさそうです。
また、ストレージやバッテリは別として、スペックや拡張性は、もはやモバイルPCを選ぶ基準にはならないと個人的には考えています。映像やグラフィックなどを扱うなら話は変わってきますが、オフィス系のソフトの利用を主体とするビジネスマンにとって、最近のPCのスペックや拡張性はどれも必要十分な水準に達していますから。これからのモバイルPC選びは、スペックや拡張性のような数値化できるものではなく、愛着が持てるか、所有するよろこびがあるか、といった数値化できない「感性」の部分のほうがより重要性を増していくのではないでしょうか。その点、この「New XPS 13」は、好き嫌いはあるかもしれませんが、デザインや質感に関しては十二分に合格点が与えられます。気になる方は、ウェブで写真を見るだけでなく、店頭で実機を触ってみることを強くおすすめします。
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