レノボ・ジャパンのThinkPadといえば、1992年にIBMから発売され、現在も連綿と続く伝統的なノートPCブランド。プロフェッショナルやビジネスマン向けのハイエンドというイメージが強いが、パソコン初心者でも購入しやすいモデルも数多くそろっている。ここでは、2102年4月現在、どんなラインナップになっているのか再チェックしていきたい。

スリムボディの境地を拓いた「T」シリーズ

日本におけるノートPCのメインストリームは、長いこと15.6型ワイド液晶を採用した製品である。だがThinkPadには、そのサイズよりも若干小さめの14型ワイド液晶を採用したThinkPad Tシリーズも古くから展開している。15型クラスよりもスリム・軽量なのにハイパフォーマンス、というのがシリーズのコンセプトだ。

現在、このTシリーズは「T420s」「T420i」「T520/T520i」というラインナップで展開される。このなかで、もっともTシリーズらしさを継承しているのがT420sだろう。1,600×900ドットの高解像度14型ワイド液晶を採用し、重量は約1.8kg。CPUにはCore i7-2640Mを搭載し、パフォーマンスも申し分ない。最薄部で21.2mmというスリムボディも、Tシリーズの血統だといえる。一方、T420iは、1,366×768ドットの14型ワイド液晶、Core i3-2350Mを採用。T420sと比べるとスペックダウンだが、重量約2.24kgと、15型クラスのノートに比べると機動力が高い。標準添付の6セルバッテリで約8.5時間(JEITA測定値)という駆動時間もモビリティを意識した内容といえる。T520/T520iは、15.6型ワイド液晶を採用した製品。前者がCore i5-2520M、後者がCore i3-2350Mを採用する。スタンダードノートと同等のサイズながら、約2.6kgと平均的な重量よりも軽くなっている。

     

スリムボディでありながらハイパフォーマンスを追求しているThinkPad T420s

スタンダードな15.6型ワイド液晶を採用し、多彩な用途に応えるThinkPad T520

先鋭的なテクノロジーでブランドを牽引する「X」シリーズ

小型軽量ボディ、長時間のバッテリ駆動、堅牢性など、さまざまな要素が求められるモバイルノート。そのため、この分野に投入される製品には、高いテクノロジーが要求される。ThinkPadでこの分野を担っているのがThinkPad Xシリーズだ。

このXシリーズを構成するのは「X1」「X1 Hybrid」「X220/X220i」「X121e」「X220 Tablet」。なかでも、2012年3月にリリースされたばかりのX1 Hybridは、Windows 7とLinuxベースの「インスタント・メディア・モード」(IMM)という2種類のOSを搭載する意欲作だ。IMMを動作させる場合は、ARMベースのプロセッサーを利用するので、消費電力を大幅に削減可能。約10時間の使用が可能になるという。スマートフォンやタブレット端末といった、いわゆる“ポストPC”といわれるデバイスは、ウェブ閲覧やメール作成、メディア再生といった面でPCを凌駕する手軽さのため支持されているが、その手軽さにいっそう近づいたかたちだ。もちろん、オフィスドキュメントの作成、動画・画像の編集といった、PCが得意とするクリエイティブな面にも対応できる。

        

WindowsとLinuxベースのOSを自在に切り替えられるThinkPad X1 Hybrid

もっともThinkPadらしさを感じさせるデザインのモバイル機、ThinkPad X220

11.6型ワイド液晶のコンパクトモバイルとなるThinkPad X121e。最小構成価格37,800円~と求めやすい

XシリーズのなかではX220も注目の存在だ。X1やX121e、後述する「Edge」シリーズなどが、アイソレーションキーボードを採用しているのに対し、同モデルはThinkPad伝統の7段配列キーボードを採用する。立体的な液晶ベゼルやスチールむき出しのヒンジなど、剛性を感じさせる部位もIBM時代のThinkPadから継承されている。往年のThinkPadファンにとっては、このモデルが一番馴染みやすいのではないだろうか。