2011年のレノボ製品には変革が見られる。中でもThinkPad製品は、とかく「伝統」や「質実剛健」という言葉で語られやすいが、今、大きく変わろうとしている。特に6月にデビューした「ThinkPad X1」は、それまでのThinkPadのイメージを覆すほどのインパクトがあった。その点については10月31日の企画記事で既報している。このレノボの新潮流を探る上で、今回は「ThinkPad Tablet」を取り上げてみたい。

手に持っただけで伝わるThinkPadの感触

ThinkPad Tabletは、2011年8月に企業向けとして投入されたタブレットデバイス。当初は企業向けとあって入手を試みる個人ユーザーを嘆かせたが、9月後半からはウェブ直販が開始され、個人ユーザーでも手軽に入手できるようになった。なお、ストレージ容量で3種類用意され64GBの直販価格が61,950円、32GBが54,390円、16GBが47,040円となっている。また無線LAN+3G回線に対応したモデルもあり、こちらは66,360円(32GB)だ。なお、全モデルすべてCPUはNVIDIA Tegra 2、ディスプレイは10.1型ワイドIPS液晶(1,280×800ドット)、OSはAndroid 3.1となっている。

10.1型ワイド液晶を採用したThinkPad Tablet。16GB、32GB、64GBの3種類のストレージが用意されている。サイズはW260.4×D181.7×H14.5mm。重量は759g。前面搭載のカメラは200万画素となる

底面にSDカード、SIMカードスロット、専用拡張ポート、マイクロUSB、ミニHDMI、ヘッドホン出力/マイク入力を備える

本体上面にはデジタイザーペンホルダー、ボリュームコントロールを用意

左側面にUSB2.0端子とモノラルスピーカー、右側面には電源ボタンが備わっている

さて、同製品を手にしてまず感じたのが「やはりThinkPad」だなということ。ThinkPadシリーズは、手に持った際に総じて剛性感をおぼえるが、このTabletでも同様の感触が得られた。重量は759gと10.1型ワイド液晶を採用したタブレットとしては重めとなるが、堅牢性を高めた結果だろう。また、ボディの質感やカラーリングもThinkPadを彷彿とさせる。本体背面はThinkPadと同様のマットなブラック。レノボはコンシューマ向けブランド「IdeaPad」で「K1」「A1」と2種類のタブレット端末をリリースしており、これらは光沢のある素材が背面に使用されている。だが、ThinkPad Tabletではノートシリーズのようなマットな素材になっており、こちらのほうが手に馴染む。

背面はThinkPadシリーズのブラック。マットな質感で手に馴染む。背面に搭載されたカメラは500万画素だ。充電中にThinkPadロゴの「i」の赤丸が光る小技が心ニクイ

ゴリラガラスにより優れた耐久性を確保

特徴的なのが、本体前面のディスプレイ部がガラスに覆われていること。このガラスはコーニング社の「ゴリラガラス」と呼ばれるもので、非常に高い耐久性を持つ。ディスプレイの表示部だけでなく、ベゼルの広い範囲もこのゴリラガラスで覆われているのがポイントで、ガラスの強度を生かした設計といえるだろう。余談だが、ゴリラガラスはThinkPad X1でも採用されている。ThinkPadは液晶部分の剛性を高めるため、ベゼルが立体的になっているのが特徴だったが、ゴリラガラスを採用したX1ではベゼルがフラットになっている。ThinkPad Tabletにもその考えが持ち込まれたかたちだ。なお、同製品はほかのThinkPadと同じくレノボ・ジャパンの大和研究所で研究・開発され、厳しい耐久テストをクリアしているという。

ディスプレイ表示部だけでなく、ベゼルのかなり広い範囲がゴリラガラスで覆われる。ハードウェアボタンは[画面回転禁止][ブラウザ起動][戻る][ホーム]と並ぶ