こんにちは、阿久津です。Microsoftは次世代Windows OSの開発に役立てるため、ユーザーの使用状況を自動的に収集するCEIP(Customer Experience Improvement Program:カスタマーエクスペリエンス向上プログラム)を実行しているのをご存じでしょうか。

Windows 7の開発公式ブログだった「Engineering Windows 7」や、Windows 8の開発公式ブログ「Building Windows 8」に掲載されているユーザーの使用状況は、CEIP経由で収集したデータや同社がテスターを用いて収集したデータが用いられているのです。

Windows 7のライセンス条項(EULA)では、CEIPという名称は用いられていませんが、「特定のコンピューター情報が送信されることに、お客様が同意されたものとします」という説明の元に、Windows 7および周辺ソフトウェアを示す「デスクトップ オペレーティング システム ソフトウェア」が含まれると説明されています(図01~03)。

図01: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「%windir%\System32\ja-JP\Licenses\_Default」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図02: 各エディションを名前に持つフォルダーが現れます。お使いのエディションと合致するフォルダーをダブルクリックして開きましょう

図03: フォルダー内にある「license.rtf」をダブルクリックすれば、関連付けられたアプリケーションで、Windows 7のライセンス条項を確認できます

Windows 7を導入するには同ライセンス条項に同意する必要があるため我々は、CEIP経由による情報送信を許可しているのです。情報送信の是非に関しては根深い問題なので本稿で語り尽くすことはできませんが、同社の説明を踏まえますと、送信されるのはコンピューターのハードウェア構成やソフトウェアの応答性、プログラムの利用状況に制限されるため、プライバシー情報の漏えいにつながることはありません。

プライバシー情報の定義によっては異論を持つ方もおられるでしょうが、ここで言うプライバシーは個人の特定が可能な情報を指しています(Windows OSにおけるプライバシーの定義はこちら)。個人的には、送信した情報によってユーザビリティが向上するのであれば好きに使ってもらって結構、と考えていますが、個人的利益につながらない無駄なタスクが動作するのは好ましくありません。そこで今回は、CEIPに関連するタスクを無効にするチューニングをお届けしましょう。

1.管理者権限でタスクスケジューラを起動します。
2.ライブラリから、Microsoft \ Windows \ Customer Experience Improvement Programを開きます。
3.すべてのタスクを選択して<無効化>をクリックします。
4.タスクスケジューラを終了させます。

これでチューニングが終了しました(図04~08)。

図04: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「taskschd.msc」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図05: タスクスケジューラが起動したら、「アクティブなタスク」に並んでいるタスクの「\ Microsoft \ Windows \ Customer Experience Improvement Program」をダブルクリックします

図06: これで同フォルダーが開きました。すべてのタスクを選択し、操作ウィンドウにある<無効化>をクリックします

図07: 続いてコンソールツリーウィンドウの「WPD」フォルダーを開き、「sqmUpload~」を選択して<無効化>をクリックします

図08: これでCEIP関連のタスクが無効になりました。<×>ボタンをクリックしてタスクスケジューラが終了させます

一般的な環境では、19時間ごとにWindows 7の各種情報を送信する「Consolidator」、毎日三時半にカーネル関連情報を送信する「KernelCeipTask」、三日に一回USB関連情報を送信する「UsbCeip」、そして毎日12時にポータブルデバイス情報を送信する四つのタスクが無効になります。

なお、コントロールパネル→すべてのコントロールパネル項目→アクションセンター→アクションセンターの設定を変更の画面にある<カスタマーエクスペリエンス向上プログラムの設定>をクリックすると起動するダイアログの設定によって、情報送信は抑制されると説明されていますが、タスク自体は定期的に実行されています(図09~10)。

図09: カスタマーエクスペリエンス向上プログラムダイアログで、CEIP情報送信の有無は制御できます

図10: 履歴を確認すると図09の設定に関係なく、タスクは定期的に実行されています

各タスクの説明を踏まえますと、単にタスクは実行されていてもデータ送信が行われていないというように読み取れますが、不要なタスクが停止することで、わずかながらでもWindows 7が軽快に動作するようになるのは有益ですので、今回紹介するに至りました。

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)