ファストフードで食べるフライドポテトはおいしい。カウンターから作っている風景を眺めている限り、そんなに手のこったものではない気がするのに、なかなかあの味を家庭で作るのは難しいような気がしませんか? そこで今回、フライドポテトの裏側を紹介します。
ポテトは二度揚げされている?
さて、フライドポテトはどのようにして作られているのでしょうか? 実はファストフードに並ぶものも、冷凍食品コーナーに並んでいるポテトも、ほとんど同じ製法で作られています。なのに家で作ると味が違うのは? という疑問は後ほど答えるとして、あのポテトがどのように作られているかまずは説明しましょう。
収穫されたジャガイモは新鮮なうちにトレーラーで運ばれ、工場で洗浄されます。この洗浄後、ブラシの生えたローラーなどで皮をむいていきます。この時の洗浄時に出た液体には、むかれた皮のほかにでんぷんを多く含んでいるので、廃液からデンプンが回収されることもあるようです。こうした精製デンプンは、他のデンプンや小麦粉と混ぜられ、バンズの原料として使われます。
皮をむかれたジャガイモは、今度は高い水圧で格子状のカッターに通されます。その格子の幅が、あのポテトの均一な太さになっているわけです。皮付きで太いポテトは、皮むき工程が甘め、かつ、格子のサイズが大きくなっています。
そして水切りされたあと、ポテトは温風乾燥器の中へ。それから油の入ったレーンで軽く火を通す感じで揚げられ、油が酸化する前に急激に冷凍します。これが、ファストフードや冷凍食品用として販売されているのです。
味の決め手は油と塩
さて、ファストフードのあの味はどうしたら出すことができるのでしょうか? 答えは揚げ油にあります。揚げ油をコーン油とショートニングの半々で作れば完了です。
ショートニングはマーガリンの味付けなしのもので、水素添加油脂の一種です。「トランス脂肪酸が……」などと悪く言われることが多いですが、言ってみればただの油です。ただ、人によってはニキビなどができやすくなります。ショートニングは炭水化物と合わさると、サクっという風味を出すことができることで知られています。市販のパイ生地やデニッシュの類いのサクフワは、ショートニングによるものです。つまり、あのサクっとした感じや濃厚な味わいを、ポテトに出すことができるわけです。
これを使ってポテトを揚げるとサクっとした、あのファストフード独特のおいしい揚げ具合が家でも簡単に作ることができます。塩は、食塩とグルタミン酸ナトリウムを1:1で混ぜたアジシオなどを使うと、非常に近い味を作ることができます。
ちなみに、最近はやりのポテト用フリフリ味付け粉末。これはポップコーン用に売られているものをそのまま使うことができます。ネットショップなどで「ポップコーン 味付け パウダー」などで検索すると、いくらでも出てきます。また、最近は小さな小袋に分けられたものも売られているので、そういったものを入手して合わせて使えば、ファストフードのあのフライドポテトが家でも食べ放題です!
……ただ、カロリー満点なことこの上ないので、食べ過ぎには要注意です。
筆者プロフィール : くられ
『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス、シリーズ累計15万部超)の著者。全国の理系を志す中高生から絶大な支持を得ており、講演なども多数展開している。近著に『ニセモノ食品の正体』(宝島社)がある。メールマガジン「アリエナイ科学メルマ」やツイッターなどで、日々に役立つ話を無料配信している。