こんにちは。一日3時間をニコニコ動画に費やすダメ社会人、山田井ユウキです。
今日もさっそく最近流行の動画や埋もれている良動画を独断と偏見で皆さんに紹介していこうと思います。選ぶ基準はただ一つ、僕の趣味です!
さて、ニコニコ動画を見ていて少し楽しい気分になることはよくあることだと思うのですが、まだニコニコ黎明期であった2007年に文字通り「少し楽しくなる動画」という題の作品が大流行したことがありました。
それは一体どんな動画なのか、そしてニコニコ動画にどんなブームをもたらしたのか――作品をご紹介しながら当時を振り返っていくことにしましょう。
発端となったのは、2007年3月7日に投稿された一本のPVでした。
そもそもは、HALFBYの楽曲である「RODEO MACHINE」と「SCREW THE PLAN」のPVをつなげたもの(情報元:ニコニコ大百科)で、曲の中毒性、PVの雰囲気、そして当時のニコニコ動画内での空耳ブームに合致したことから急速に人気を増し、数々の派生作品が作られるに至ったのです。
この動画を知らないよという方も今では多いと思いますので、まずはぜひ一度上の元動画をご覧ください。何となく少し楽しい気持ちになることができたら、それはもうこの動画の魔力に取り憑かれた証拠です。
有名な派生作品としては、ニコニコ動画で人気のキャラクターたちを元動画風のタッチで描いたオールスター動画がありますが、
しかしなんと言っても「少し楽しくなる動画」がニコニコ動画にもたらした最大の功績は、全国で何度も開催されるに至った「中曽根OFF」でしょう(「中曽根」とは元動画内での空耳)。
元動画のように複数で隊列を組み、街を練り歩く光景を撮影し、編集してニコニコ動画に投稿する――かなり大がかりな作業であり、オフ会というよりもパフォーマンスと呼んだ方が適切なこの中曽根OFFは、数をこなすごとに地方の特色を取り入れながら進化していきます。
始まりは、秋葉原でした。
元動画の再現率などはこれからご紹介する別の中曽根OFF動画に比べるとまだそれほどでもありませんが、それでも前例がない中でこれだけの人数を集めてやり遂げたというのは驚きです。
この動画が引き金となって、「うちの地方でも!」という声が上がるようになり、各地で中曽根OFFが流行し始めたのでした。
そのうち、いくつかをご紹介していきます。
京都で開催された中曽根OFF。編集技術やカメラワーク、元動画とのシンクロ率などが上昇し、かなり細かい部分まで計算されていることがわかります。背景には京都ならではの歴史ある建物が映し出されており、この動画以降の中曽根OFFでは地域の特色を出すことが恒例行事となっていきました。
ちなみにこの京都版にはメイキング映像も投稿されており、撮影の苦労や裏話などを見ることができます。
続いてご紹介するのは、同じく関西から大阪オフ。
笑いの街・大阪ならではのノリをたっぷり堪能できるこちらの中曽根OFF動画。元動画の再現はもちろん、随所に仕込まれたフリーダムなネタの数々が秀逸。特に後半は必見です。
で、この動画にもメイキングがあります。
こういった舞台裏を見るととても楽しそうで、こっちの方がむしろ「少し楽しくなる動画」かもしれませんね。
そして舞台はさらに南下し、九州へ。
編集技術、カメラワークがさらに向上し、これでもかと詰め込まれた地元ネタが良い具合に鹿児島のアピールにもなっていて、これぞ中曽根OFF動画の本領発揮。特に動画中盤には、動画公開当時大きな反響があったとある仕掛けが仕込まれていますのでぜひ期待してご覧ください。
また、これらの動画を集めた比較動画も投稿されています。
※ただし秋葉原は2nd
こうして並べてみると、各地の特徴がよりいっそう見えてきて面白いですね。中曽根OFFというよりも、地元自慢動画になっているのが微笑ましい限りです。
――ということで、代表的な中曽根OFF動画は以上ですが、ブームが去った今でもオフイベントはファンによって続けられているようです。
直近の動画では、鹿児島での中曽根OFF第二弾となるこちら。投稿日は2009年6月29日。
こうした"ネットからリアルへ"という流れは、現在のニコニコ動画では当たり前のように行われるようになっています。
例えば、先日ご紹介したニコニコオーケストラもそうですし、他にも「踊ってみた」の大規模オフや、「歌ってみた」の歌い手たちが集まってのライブ、ゲーム実況者が集合してのイベントなど、いまや枚挙にいとまがありません。
※言わずと知れたニコニコオーケストラ
※ネットで大人気の"あの人"がテーマのダンス
※ニコニコでのモンスターハンター関連の人気うp主(動画投稿者)たちがイベントで結集
こうした流れを最初に作ったといっても過言ではない「少し楽しくなる動画」は、ニコニコ動画最古の大規模オフの一つとして今後も語り継がれていくことでしょう。
勝手エヴァンジェリスト・山田井ユウキ
1980年生まれ。レビューサイト「カフェオレ・ライター」で、映画、漫画、ゲームなどを独自視点からレビューする他、「builder by ZDNet Japan」「ハリウッドチャンネル」など各種媒体で記事を連載中。どんなに忙しくても一日数時間ニコニコ動画に費やすという、社会人としてあるまじき生活を謳歌中。好きな動画ジャンルはゲーム実況、ボカロ、他エンタメ系全般。
(タイトルイラスト:3P3P) ※本コラムで紹介している動画は、作者やサイトなどの都合により削除されることもあります。あらかじめご了承ください。