JR四国は2013年3月まで、予土線で「海洋堂ホビートレイン」を走らせている。2011年の夏に予土線の沿線で誕生した「海洋堂ホビー館四万十」(最寄り駅は打井川駅)とのコラボレーションだ。当初は1年間の運行予定だったけど、好評のため運行期間を延長し、このほど展示品をリニューアルしたという。

そこで、「海洋堂ホビートレイン」で「海洋堂ホビー館四万十」を訪ねる旅を考えてみた。鉄道ファンが東京から四国へ行くといえば、まず思い浮かぶ列車は寝台特急「サンライズ瀬戸」だ。ただ、往復での利用はのんびりしすぎかもしれない。そこでおすすめしたいきっぷは「周遊きっぷ」。帰りに自分で手配した航空便を組み込めるからだ。

メリットいっぱい! 周遊きっぷ「四万十・宇和海ゾーン」

周遊きっぷ四万十・宇和海ゾーンのフリーエリア

「周遊きっぷ」は、目的地のフリーエリアの列車に乗り放題の「ゾーン券」と、出発地から周遊ゾーンへの「ゆき券」「かえり券」を組み合わせたきっぷだ。全国で13カ所の周遊ゾーンが設定されており、券面のフリーエリアは特急の自由席も乗り放題。周遊ゾーンによっては私鉄やバスも含まれる。さらに、「ゆき券」「かえり券」は運賃の2割引(学割は3割引)というお得なきっぷだ。

ただし、出発地から周遊ゾーンの入口までの距離が201km以上という条件があったり、東海道新幹線を利用する場合は割引率が下がったりするなど、ややこしいルールもある。

そのせいもあってか、後発のトクトクきっぷに押され気味で、周遊ゾーンの数も減少傾向だ。そんな「周遊きっぷ」を見直す意味でも、今回はぜひ活用したい。

同きっぷには、往復のどちらかを航空便にしてもいいというものもある。今回紹介する「四万十・宇和海ゾーン」も航空便に対応している。航空券は自分で安いチケットを手配し、証明になる書面をJRの窓口で見せればいい。出発地から遠い周遊ゾーンでも、片道を航空機にできるなら行きやすいし、JRの乗車券より安くなる場合もある。

寝台特急「サンライズ瀬戸」で出発!

では、時刻表を開いて"妄想乗車"してみよう。寝台特急「サンライズ瀬戸」は、東京駅を22時に発車する。食堂車はないので夕食は済ませておきたい。「サンライズ瀬戸」は個室中心の列車だから、ゆったりとくつろげる。指定席特急料金だけで利用できる「ノビノビ座席」もあるけど、どうせ妄想だし、ぜいたくにデラックスな個室で。移りゆく街の明かりを眺めつつ、缶チューハイで晩酌といこう。

「サンライズ瀬戸」は翌朝7時頃に瀬戸大橋を通過し、坂出駅に7時8分到着。ここで降りれば、松山行の特急「いしづち5号」に乗り換えられる。でも、せっかく寝台特急に乗ったからには終点まで乗り通したい。そんな場合は宇多津~高松間の往復乗車券を別に買っておけばよい。高松駅には7時27分に到着。次に乗る特急「いしづち5号」は10分後と慌ただしいけれど、改札口の横にある「連絡船うどん」で朝食にしようか。

いや、いっそ高松で途中下車してうどん屋めぐりもいいかも。この日は松山で泊まる予定だし、高松と松山で観光する時間を配分すればいい。特急「いしづち」は日中、1時間に1本の割合で走っている。松山駅までの所要時間は2時間半ほどだ。

「海洋堂ホビー館四万十」へのバスは日曜のみ

今回の行程表

瀬戸大橋を渡り、予土線へ向かうルートは松山経由と高知経由がある。高知経由で特急「南風」を利用すると、「サンライズ瀬戸」を降りたその日のうちに、窪川駅から「海洋堂ホビートレイン」に乗車可能。午後には「海洋堂ホビー館四万十」に到着する。なのになぜ今回は松山で1泊することにしたかというと、高知経由の場合、「海洋堂ホビートレイン」の乗車時間は約20分と短くなってしまうから。

松山駅8時8分発の特急「宇和海5号」で出発すれば、宇和島駅9時38分発の「海洋堂ホビートレイン」に乗車できて、「海洋堂ホビー館四万十」の最寄り駅、打井川駅まで約2時間も乗車できる。景色も車内のフィギュアもたっぷり鑑賞できる。打井川駅からバスへの接続もいい。

「海洋堂ホビー館四万十」の滞在時間は約5時間もある。付近はなにもないところらしく、同館も自ら「へんぴなミュージアム」と宣伝している。とはいえ、食事をする施設はあるらしいのでちょっと安心だ。注意したいのは、打井川駅からのバスは日曜日しか運行されないこと。逆算すると、東京駅から「サンライズ瀬戸」に乗る日は金曜日になる。

「海洋堂ホビー館四万十」を楽しんだ後、バスで打井川駅に戻り、予土線を先に進むことにする。特急「南風28号」に乗り、高知駅には19時26分に到着。この時間だと飛行機の最終便には間に合わないので、この日は高知に泊まろう。

土佐くろしお鉄道とバスを乗り継いで松山に戻る

翌日は高知駅から土讃線と土佐くろしお鉄道中村線・宿毛線で宿毛へ。そこからバスに乗って宇和島へ。さらに予讃線に乗り継いで松山へ行き、松山空港からの最終便で羽田空港へ戻る。高知、中村、宿毛、宇和島、どれも魅力的な街だ。どこで観光してもいいけれど、今回は高知駅8時20分発の特急「あしずり3号」に乗り、中村駅で降りて3時間半の時間をとってみた。四万十川の観光船を楽しみ、昼ごはんにちょうどいい時間だ。

中村駅から普通列車に乗って宿毛駅へ。宿毛からのバスは海沿いを走るから景色が良さそうだ。宇和島駅からは松山行の特急「宇和海20号」に乗る。松山駅で空港連絡バスの乗り継ぎは5分だから、ちょっと急いだほうがいいかもしれない。松山空港から羽田空港行の最終便は、最新鋭のジェット機、ボーイング787の旅となる。