ASUSTeK「BLITZ Extreme」

同社Intel P35マザーボードの頂点「BLITZ Extreme」(今回用いた機材はエンジニアリングサンプルです。実際の製品とは仕様が異なる場合があります)

主な仕様
メーカー ASUSTeK
製品名 BLITZ Extreme
フォームファクタ ATX
対応ソケット LGA775
対応CPU Core 2 Extreme QX/X、Core 2 Quad、Core 2 Duo、Pentium Extreme Edition、Pentium D、Pentium 4、Celeron D
対応FSB 1333/1066/800MHz
チップセット Intel P35+ICH9R
対応メモリ PC3-10700/8600/6400×4スロット(最大8GB:PC3-10700は同社Super Memspeedテクノロジによるオーバークロックで実現)
拡張スロット PCI Express x16×2(x8×2のCrossFireに対応)、PCI Express x1×3、PCI×2
ストレージ SATA×8(チップセット×6・JMicron JMB363×2)、PATA×1(JMicron JMB363)
RAID機能 チップセットSATA(RAID 0/1/0+1/5)
ネットワーク 1000Mbps×2(Marvell 88E8056/88E8001)
オーディオ 8ch HDオーディオ(「SupremeFX II」Analog Devices AD1988B)
インタフェース USB2.0×12、IEEE1394a×2
付属品 「SupremeFX II」サウンドカード、S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernoby(英語版)、Futuremark 3DMark06 Advanced Edition、Kaspersky Lab Kaspersky Anti-Virus(英語版)、Fusion Block System(水冷)用部品

ASUSTeKの「BLITZ Extreme」は、同社のIntel P35チップセット搭載マザーボードラインアップの頂点に立つモデルである。P5Kシリーズが主に一般ユーザー向けとされているのに対し、BLITZの属する「R.O.G.」シリーズはハイエンドゲーマー&オーバークロッカー向けブランド。そしてBLITZの2つのラインアップのなかでもExtremeは上位に位置している。

ゲーマーには高速タイプのUSBマウスが好まれることもありマウス用PS/2端子は省かれている。また、オーバークロッカーの"最後の手段"CMOSクリアスイッチも搭載されている

Intel P35ノースブリッジチップ

NH82801IRの刻印のあるICH9Rサウスブリッジチップ

まず目に入るヒートシンクは「Fusion Block System」。同社のハイエンドマザーでは、チップセット、CPUレギュレータなどをヒートパイプで結び、熱を移動、冷却するメカニズムが用いられているが、Fusion Block Systemはこのノースブリッジ部に水冷用の管を装備する。水冷への対応はハイエンドオーバークロッカーや、ゲーマーの静音ニーズを意識したもの。そしてFusion Block Systemでは、ヒートパイプがサウスブリッジやCPUレギュレータ、後述のCrosslinxチップからもノースブリッジ部へと熱を移動するため、1点でこれら全ての冷却が可能となる。個別に水冷する場合と比較し、水冷チューブの配線が大幅に簡素化でき、水冷導入の敷居も下げている。

BLITZシリーズでもExtremeのみの機能「Fusion Block System」。空冷でも十分な冷却効果を発揮するよう設計されているとのこと

ノースブリッジ部の拡大写真

BLITZ Extremeは2本のPCI Express x16スロットを搭載しており、CrossFireをサポートしている。ただし他社のIntel P35マザーボードや同社P5Kシリーズと異なるのは、PCI Express x16+x4ではなく、PCI Express x8×2というレーン構成でのCrossFireをサポートする「Closslinx」テクノロジーの搭載だ。一般的なIntel P35マザーボードでは、ノースブリッジからのPCI Express x16とサウスブリッジからのPCI Express x4レーンを用いてCrossFireを実現しているため、ノース・サウスブリッジ間の転送がひとつのボトルネックとなっている。Closslinxは、ノースブリッジからのPCI Express x16をx8×2レーンに分割することでこのボトルネックの解消を狙ったものだ。

Intel P35マザーボードの一般的なCrossFire構成

BLITZシリーズのCrosslinxによるCrossFire構成

Closslinxロゴのヒートシンク下にはIDTのマークの付いた「89HA0324PS」が搭載されている。IDTの製品ページには掲載されておらず、どうやらカスタムチップ。ただし89HA0324PSというチップ自体は同社のIntel 975Xマザーボード「P5W64 WS Professional」でも用いられており、同製品もPCI Express x16をx8×2レーンとして用いる機能をサポートしてる。

IDT製のPCI Express Switchチップ「89HA0324PS」

そのほか多数のオーバークロッカー&ゲーマー向け機能を満載

システムチェックにおいてパス・エラーといったステータスを数値で返すPOSコード。LCD Posterはこれを文字で表示するものだ。BLITZ Extremeではケーブルで引き回せる外付けタイプに変更された

8chオーディオ機能は拡張カード型の「SupremeFX II」を採る。高音質を追求しマザーボード上のノイズから隔離するとともに、ノイズ対策には金属シールド、マイク端子にはノイズフィルター機能を備えている

搭載されたコーデックチップはAnalog Devices「AD1988B」

マザーボード上にはパワー/リセットスイッチも搭載

また、BLITZシリーズには「CPU Level Up」というBIOSから設定するオーバークロック機能がある。簡単に言えばFSBをより上位のCPUと同クロックで動作させるためにFSBと、関連するCPUコア電圧等を自動的に設定してくれる機能。設定されるFSBやコア電圧等はASUSTeK独自のノウハウに任せた簡易なオーバークロック機能だ。予算の都合で断念したあのCPUと同じクロックで動作できればちょっとお得な気持ちになれることだろう。ちなみに、究極な設定として「Crazy」モードも用意されている。当然、このCrazyモードで動かせるかどうかは、ユーザーの冷却技術やパーツ選びといった"技術・経験"、そしてCPUコアのクロック耐性といった"運"にかかっている。

背面I/Oパネルの2つのeSATAは、JMicronの「JMB363」による機能。このJMB363でPATA×1も備える

ギガビットLANは2ポート。1つはPCI Express接続のMarvell「88E8056-NNC1」

もう1つはPCI接続のMarvell「88E8001-LKJ1」

IEEE1394チップはVIA「VT6308P」

書ききれないほどの機能を詰め込んだASUS渾身の1枚

BLITZ Extremeは、他のIntel P35マザーボードには搭載されていない独自の機能を搭載した製品だ。今回は紹介しなかったが、同社ハイエンドマザーが従来搭載していた機能のほとんどもBLITZ Extremeは引き継いでいる。それ故に価格でも他のマザーボードを圧倒しているため、おいそれと手を出せるものではないのも事実。店頭予想価格は4万円台半ば。至高の1品に対価を惜しまない一部のゲーマー・オーバークロッカーにターゲットを絞っているからこそ実現できた製品とも言える。

メモリがまだ高価なDDR3である点も、最新トレンドに敏感なハイエンドユーザー層向けと言えよう。DDR3は、PC3-10700(DDR3-1333)にもオーバークロック機能で対応している。DDR2メモリをそのまま利用したいユーザーには、下位の「BLITZ Formula」も選択肢に入るだろう。ただしこちらはFusion Block Systemをはじめ一部機能も削がれており、真のハイエンドはあくまでBLITZ Extremeということになる。