細かな条件設定で、無駄なくバックアップできる
【2008年7月号掲載】



スペック

[発売元] アクト・ツー [価格] パッケージ版:8,980円、ダウンロード版:7,800円、アップグレード版:4,800円、追加ライセンス版:6,800円 [OS] Mac OS X 10.4以上 [HD] 40MB以上 [掲載号] 「Mac Fan」2008年7月号

OVERVIEW

Mac OS X 10.5 Lepardには、OS標準のバックアップ機能として「Time Machine(タイムマシン)」が搭載されている。タイムマシンが極めてシンプルな方向性を指向しているのに対し、このパーソナルバックアップは、豊富な機能と使いやすさの両立を目指した製品だ。本製品を使えば、バックアップしたいフォルダを細かく指定することで、バックアップにかかる時間やディスク容量を節約したり、スケジュール機能によりバックアップするタイミングを自分で設定することができるようになる。

本バージョンでは、細かな使い勝手の向上が随所に施された。例えば、バックアップ元やバックアップ先のボリュームがネットワーク上にある場合、バックアップ実行時に自動的にユーザ名とパスワードを入力してマウントすることが可能になった。

(1) 一新されたインターフェイス
バックアップの内容は"バックアップ"、"起動ディスクバックアップ"、"同期"の3種類に大別される。例外条件やオプション設定などは、「Automator」のような体裁で表示される

また、スケジュールで指定した時刻にMacがスリープ中だった場合でも、スリープを解除するよう機能が改善されている。本製品には、バックアップ終了後にバックアップ先ボリュームをアンマウントしたり、システム終了やスリープを行う機能もあるため、Macを触らない真夜中でも、確実に定時バックアップを行うことができる。

(2) オプション設定項目が魅力
詳細なオプション設定では、スケジュールの指定や前準備、バックアップ対象ファイルのふるい分けやバックアップ後の処理を指定できる

FOCUS ON

(3) バックアップ処理中はじっと我慢
バックアップ中は進行状況と残り時間が表示される。さらに、実行中に[チャート]をクリックするとコピー速度をグラフで表示することもできる

レパードにタイムマシンが搭載されたことで、バックアップはこれで十分と考える人もいるだろう。しかしタイムマシンは、かろうじて除外ファイル/フォルダの設定ができるものの、バックアップ対象の細かな指定やバックアップスケジュールの設定ができないなど制限も多い。バックアップ対象を絞って効率的にバックアップを行いたい人や、スケジュールを自分で管理したい人にとっては、本製品がよりよい選択肢となるだろう。

また、起動ボリュームを起動可能な状態で複製できる点も評価したい。バックアップ終了後にディスクメンテナンスを実行することまでできるので、安心して起動ディスクの複製ができるのはありがたい。

(4) 起動ボリュームをクローニング
本製品では、起動ボリュームを複製することもできる。もちろんこの場合も、スケジュールの指定などのオプション処理を設定することが可能だ

さらに、本製品は、2台のMac間でデータを「同期」するという使い方もできる。例えば、出先で使っているMacBookと自宅で使っているiMacの同期作業を行うことで、データを常に同じ状態に保っておけるわけだ。大切なデータを二重化するという用途にとどまらず、さまざまな活用方法が見えてくるソフトだ。

(5) 同期機能を使いこなそう
同期機能をうまく使えば、自宅のデスクトップ機と外出時のノート機を同期し、データを共用することが簡単にできるようになる。ぜひ試してみよう

AFTER REVIEW

日常的なバックアップは、最初の設定さえしっかりやっておけば面倒なものではない。タイムマシンは、この「最初の設定」を省くことでバックアップの敷居を下げたが、本製品は、細かなオプション設定を備えながらも、Macらしいインターフェイスにより戸惑わずに設定ができる。タイムマシンのようなグラフィカルな演出はないものの、バックアップ先からのファイルの復元もわかりやすく、使いやすい製品だ。