ドリキャスを2台持っています

年月を経て色褪せぬ魅力を誇るゲームがある。初代ファミコンであれば、ゼビウスとスーパーマリオブラザーズ、アイスクライマー。セガサターンといえばバーチャファイター2。プレイステーションならば、リッジレーサーといったところか。

筆者もときどき息抜きにゲームをするが、最新のハードに最新のソフトというわけではない。桃太郎電鉄のようなボードゲームは、古いものでも十分遊べる。カードゲームの「カルドセプト」は特にお気に入りで、夫婦で遊ぶにはピッタリ。スカッとしたいときには、超高速青ハリネズミ「ソニック」を操るアクションゲームもいい。

というわけで、2001年に生産終了となった「ドリームキャスト」が捨てられない。ビジュアルメモリ(覚えてますか?)のボタン電池は入れ替えぬまま放置、内蔵時計も遅れるに任せているが、ときどき遊ぶぶんには問題なし。カルドセプトもソニックアドベンチャーも、その魅力が色あせることはない。スペースチャンネル5で、モロ星人とチューチューいいながら戯れることだってできる。筆者的にはドリキャスいまだ健在、なのだ。

480iを720pに変換、補正も行うアップスキャンコンバータ「HDオプティマイザー」

しかし気になることが。液晶テレビで遊ぶとき、映像の粗が目立つのだ。いまさらS端子ケーブルを購入しようにも入手は困難、三十路男がオークションサイトに張り付いて探すわけにも行かない。他の選択肢、できれば他の映像機器でも使えそうなものは……とあれこれ物色していたところ、目にとまったのがAHS(AH-Software)より発売中の「HDオプティマイザー」。ご厚意により試用の機会を頂戴したため、ここにドリキャスを実験台としたレビューをお届けする次第。

"アナログをデジタルに"変える、HDオプティマイザー。映像補整時にはこのロゴの下が青く光る

お察しのとおり、MIL-CD対応 / 非対応機それぞれ1台持っています

480iから720pに自動変換

このHDオプティマイザーなる製品、SD→HD変換装置としての役割を果たす。SD映像信号(480i)を補正、最近はやりの薄型テレビで快適に視聴できるようHD映像(720p)に変換してくれるのだ。480iのコンポジット/コンポーネント信号であれば入力できるので、対応が明記されているゲームコンソールにかぎらず、DVDレコーダーやVHSデッキ、iPodにDVビデオレコーダなどなど、幅広い映像機器に対応できる。

480iのSD映像が画素数3倍以上の720pに変換されるだけでなく、映像ソース自体が持つ微妙なズレ(ジッター)を取り除き、対象シーンの合間へ自動的に新しいフレームを挿入、最大120Hzまで増やすことができる。補正によりどの程度画質が改善されるか確認するための、画面分割モードも用意されている。

本体左上のオプティマイザーボタンと右上の入力切り替えボタンを同時押しすると、画面分割モードになる

切り替え機としても利用できる。最大でコンポーネント×1、コンポジット×2の計3系統を同時に接続できる(ただしコンポーネントとコンポジット1のオーディオ端子は共用)ので、出力元の映像機器を変えるつどケーブルを差し替えるという面倒はない。別途HDMI - DVI-D変換ケーブルが必要となるが、PCの液晶モニタへゲーム機の映像を出力することも可能だ。

入力はコンポーネント×1、コンポジット×2の3系統

出力端子はHDMI×1のみ

DVDソフトや地アナ資産には効果あり

HDオプティマイザーをしばらく試用した感想だが、それほど劇的ではないものの確実に画質はアップしているという印象を受けた。DVDレコーダーに録画した地上アナログ放送やDVDソフトを再生したところ、全体的にチラつきが減り、細かい線などを表示すると現れる干渉縞(モアレ)が気にならなくなったことと、水滴が飛び散るような動きの速いシーンの描写が改善されたように感じた。直接テレビのコンポジット入力へ接続するよりは、HDオプティマイザーを経由したほうが映像の表現力が増すことは確かだろう。

デジタルカメラのテレビ出力も、違いを明確に感じられた。PCの画面に比べれば鮮明さは劣るが、コンポジット入力時より画面は明るく、全体的に彩度が増した印象。デジタルカメラやiPodのような小型機器をテレビに接続することが多いユーザも、HDオプティマイザーによる恩恵を期待していいはずだ。

静止画出力も、直接コンポジット入力(左)とHDオプティマイザー経由(右)とでは差が生じる

ただし、ドリキャスに関しては、それほどの効果を感じなかった。カルドセプトIIのオープニングムービーを対象に、直接コンポジット入力とHDオプティマイザー経由でHDMI入力を比較したところ、前述のように全体的なチラつきが減り、キャラクタの輪郭も滑らかになった気はしたが、画像の細部にキレが生まれたわけではない。ピクセルレベルでの鮮明さが重要なゲーム機の場合、やはりS出力用ケーブルを探すことのほうが先決で、しかも高い費用対効果を得られるはずだ。もっともドリキャスの場合、入手できるかどうかが問題なのだが。

久しぶりにドリームキャストの電源を投入。アップスキャンされているためか、チラつきが少ない印象

このテストモードは、画面中央の線をはさんで左側がアップスキャンとエッジ補正がON、右側が左側に加え倍速駆動と動画補正ONとなる(カルドセプトIIのデモムービーより。 Copyright 2001 Omiya Soft (Supported by Marigul)

○AHS(AH-Software)
「HDオプティマイザー」
機能 ★★★★
価格
楽しさ ★★★
怪しさ ★★
衝動買い ★★★★
TOTAL ★★★