連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
来年の2月に第3子が生まれる予定です。現在パートで週5日働いていますが、1番上の長女が来年の4月から小学1年生になり、2番目の長男がまだ3歳です。子育てに手がかかる時期でもあるので3番目が生まれたら、一旦仕事を辞めて当分は子育てに専念しようと思っています。私が仕事を辞めると今まで入ってきたパート代の収入がなくなってしまうので、夫の収入だけで今後どのようにやりくりをしていったらいいのか、アドバイスお願いします。

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • お子様が3人になると、教育費が家計に占める割合が大きくなり、家計のやりくりが大変になってきます。一旦お仕事を辞めることにしたのなら、その間にこれからの生活の基盤をしっかりと作っておきましょう。一時的に収入が減りますが、復職後は家計もゆとりが出てくるはずです。お子様の進学コースをどうするのか、夫婦で話し合い早めに方針を決めておくと良いでしょう。

(※詳細は以下をご覧ください)


お子様3人の教育にかかるお金

3人目のお子様がお生まれになるとのこと、おめでとうございます。これからしばらくは子育てに専念されるとのこと、そうなると収入が減るため、家計のやりくりが心配ですね。

これから、3人のお子様の教育費がいつ、どのくらいかかるのか年間費用を試算してみました。私立幼稚園に通い、高校までは公立、大学は私立文系に自宅から通うという前提です。学校教育費は、文部科学省の「文部科学省子どもの学習費調査」(平成24年度)を参考にしていますが、習い事も2つくらいさせたいとのことですので、小学校からの学校外教育費は多めに見積もっています。

また、公立中学、公立高校のため進学塾に通う前提で、こちらも多めに計算しています。そうしますと、3人目のお子様が幼稚園に入られると、年間教育費は100万円を超え、1人目のお子様が高校生になると150万円以上となります。また、3人の教育費総額は3,200万円余り。住宅ローンより大きい金額になります。

「文部科学省子どもの学習費調査」(平成24年度)を参考に筆者作成

仕事を辞めたらどうなる?

現在の家計データを拝見すると、年間ではパート収入以上の貯蓄ができていますので、仕事を辞めても赤字家計になる心配はありませんが、貯蓄できる金額は年間40万円程度まで落ち込む予想です。月々の収支は赤字になり、ボーナスから補う必要があるかもしれません。

また、ずっと仕事をしないとすると、お子様が高校から私立に行く場合や、自宅外の大学に通う場合には対応できません。今後の教育費を考慮して、3人目のお子様が幼稚園に入るころから少しずつ仕事を始め、小学校入学と同時に現在と同じくらいの収入を得ることを目指されてはいかがでしょうか。仕事を辞めている間、可能ならば雇用保険の「教育訓練給付金制度」を利用して、再就職に有利な資格を得れば、収入アップも見込めます。また、3人目のお子様は保育園に通わせて、早めに本格復帰する方法もあります。

家計の基盤を作ろう

子育てに専念している間は収入が減ってしまいますので、なるべく支出を減らす努力をしましょう。この間は、夫にも、ランチをお弁当にする、ボーナスからのこづかいを減らすなどの協力体制を築いてもらってはいかがでしょうか。

また、お子様の進学コースをどうするのか、夫婦である程度の方針を決めておくと、今後の生活の見通しを立てやすくなります。お子様の数が多い分、教育費のかけ方が今後の生活を左右することになりかねません。前出の「子どもの学習費調査」によると、公立高校は3年間で約116万円、私立高校は約290万円かかります。お子様が進みたい道を選べるよう、習い事の費用は予算を守り、高校、大学の教育資金に余裕を持っておくことが大切です。

また、夫の生命保険が更新のあるタイプなら、更新のない終身医療保険と、定期部分を月々一定の金額を受け取るタイプの収入保障保険に変えることで、保障を増やして保険料を抑えることも可能ではないかと思います。普通預金に計300万円も預けていらっしゃいますが、生活予備費を残して、少しでも金利の良い定期預金に預け替えましょう。

お子様が増えると生活費や教育費がかさみますが、楽しみもそれ以上に増えます。しばらくは子育てに専念するという決心をされたのですから、お子様との時間を目一杯楽しみながら、今後の生活の基盤を作る時期にしてください。その後復職されたら家計にも余裕ができ、貯蓄ペースも上がっていきます。最初のお子様が大学に入るまでになるべく貯蓄を殖やしておきましょう。

(※写真画像は本文とは関係ありません)

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー 福島佳奈美

金融系SE(システムエンジニア)からファイナンシャルプランナーに転身。Webサイト中心にマネーコラム執筆を行うほか、教育費やライフプランニング、保険、家計見直しなどのセミナー講師、個人相談などの活動を行っている。