東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-114円77銭となりました。週後半に、国内ではトヨタ自動車2013年4月~9月期の決算発表を、海外ではECB(欧州中央銀行)理事会の開催、米GDPの発表、米雇用統計の発表などを控えるなか、方向感の定まらない展開が続きました。週末の11月8日(金)は11月物の株価指数オプションとミニ日経平均先物の特別清算指数(SQ)の算出日でしたが、SQ推計値は、1万4013円07銭となり、週末8日(金)の大引けの日経平均株価は、この推計値を上回って取引を終えています。結局、今週一週間の高値は6日(水)の1万4407円69銭、安値は8日(金)の1万4026円17銭。高安の値幅は381円52銭となりました。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。3連休明けとなった5日(火)の東京株式市場は一進一退の展開となりました。取引開始直後こそ日経平均株価は一時、1万4323円(+121円)まで上昇したものの、ECB理事会や米国の7月~9月期のGDP速報値、10月の米雇用統計の発表など、今週の注目イベントを前に、上値追いには慎重な向きが強まり、また、為替動向に一喜一憂する場面も見られ、前場中頃から前週末の終値を挟んで行ったり来たりの動きとなりました。この日から、空売り(証券会社などから株式を借りて売る取引)規制が緩和され、空売り注文を出せる価格が、直前の株価よりも安い価格でも可能となったため、機関投資家や個人投資家など大口の売買が膨らみました。東証1部の売買代金が2兆円を超えるなか、空売りが占める比率は29.2%と今年の最高水準に達しています。TOPIX業種別指数では、石油・石炭、証券、海運、情報・通信など16業種が上昇、一方、ゴム製品、電気・ガス、輸送用機器、電気機器など17業種が下落。結局、この日の日経平均株価の終値は+23円と小幅高で3日ぶりに反発しています。一方、TOPIXは3日続落となっています。

6日(水)の東京株式市場は上昇。国内の注目イベントであるトヨタ自動車の4月~9期決算が大引け後に控えていることに加え、翌日のECB理事会開催を前に、前場は前日の終値を挟んでの様子見ムードで推移しました。しかし、昼休み時間中に「トヨタ自動車が今期の営業利益見通しを2兆2000億円に上方修正する方針を固めた」という報道が流れるとムードは一変し、後場は取引開始直後から買いが広がり、日経平均株価は一時、1万4407円(+182円)まで上伸。その後、トヨタ自動車の営業利益予想が市場予想を下回っているとの冷静な見方も出てきたため、後場の終盤には上値の重い展開となりました。

TOPIX業種別指数では、鉄鋼、精密、海運、非鉄金属、機械など31業種が上昇、一方、情報・通信、不動産の2業種が下落。

日経平均株価は続伸、TOPIXは4日ぶりの反発となっています。

7日(木)の東京株式市場は方向感に乏しい展開となりました。前日に米ダウ工業株30種平均株価が最高値を更新したことなどを受け、前場は買いが先行する場面も見られましたがECB理事会開催、米GDPや米雇用統計の発表といった海外の注目イベントを控え、様子見姿勢が強く、前日に業績見通しを上方修正したトヨタ自動車を始めとする主力銘柄への買いは見送られました。8日(金)に11月物の株価指数オプションとミニ日経平均先物の特別清算指数(SQ)の算出を控えるなか、後場中頃からは先物主導で下げ幅を拡大。また、為替が円高・ドル安に振れた流れに合わせて売りの勢いが強まり、結局、この日の安値近辺で取引が終了しました。

東証1部の売買代金は概算で1兆6951億円と10月22日以来、ほぼ半月ぶりの低水準。

TOPIX業種別指数では、ゴム製品、繊維製品など4業種が上昇、一方、ガラス・土石、鉄鋼、証券、建設、輸送用機器など29業種が下落。日経平均株価は3日ぶりの反落、TOPIXは反落となっています。

8日(金)の東京株式市場は続落。7月~9月期の米GDPの速報値が予想を上回る結果となった7日の米国市場は買い先行で始まったものの、その後は利益確定売りに押され、結局、大幅安となりました。この流れを受けて日経平均株価は続落でスタートし、始値の1万4026円17銭が、この日の安値、そして今週の安値に。その後はSQ推計値である1万4013円が下値のサポートとして意識され、やや下げ渋る場面も見せたものの、ECBによる想定外の利下げなどを受け円高が進んだことも嫌気され、また、米雇用統計の発表を前に見送りムードも強く、前場後場を通して戻りの鈍い展開となりました。

TOPIX業種別指数では、ゴム製品、繊維製品、医薬品、その他製品など6業種が上昇、一方、保険、小売、証券、鉱業、陸運、輸送用機器、情報・通信など27業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。

来週は、国内で2013年7月~9月期のGDP速報値が14日(木)に発表されます。また、メガバンク3行のうち三井住友FGが12日(火)に、三菱UFJとみずほFGが14日(木)に決算発表を行います。海外では、FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長による講演<日本時間14日9:00>も注目です。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。