こんにちは。フィスコリサーチレポーターの飯村真由です。今回は「短期間で値上がり期待の大きい銘柄を選ぶコツ~応用編~」と題し、短期投資についてさらに理解を深めていきたいと思います。

短期資金が向かう要因として"テーマ性"以外に何がある?

短期資金が向かう要因として、前回の基本編で学んだ"テーマ性"以外には何があるのでしょうか。

まずは、株価が上昇するケースについて考えてみましょう。

◇好決算を発表した時

業績の上振れは株価上昇の大きな要素です。

◇新規事業や業務提携を発表した時

業務提携はシナジー効果が期待できることから好材料となります。しかし、大型のM&Aを発表した場合は資金負担懸念により株価が下落する場合もありますので注意が必要です。

◇増配(初配・復配)や優待の導入を発表した時

株主還元に対して積極的な姿勢を示すと好感された買いが向かいやすくなります。

◇株式分割を発表した時

購入価格が安くなることで流動性が高まり、市場では歓迎される傾向が見られます。

フィスコリサーチレポーターの飯村真由さん

株価を動かす要因となるものは"材料"と呼ばれる

このように株価を動かす要因となるものは"材料"と呼ばれています。

好決算やIRなど株価上昇が期待できる良い材料のことを"好材料"、反対に株価下落リスクが高まる内容の場合は"悪材料"言われます。

ここで質問です。次の4つの材料から悪材料を1つ選んでみましょう。

  1. 自社株買いの取得枠設定を発表した

  2. 証券会社が格付け引き上げ(目標株価引き上げ)を発表した

  3. 東証1部への鞍替えを発表した

  4. 増資を発表した

答えです。1~3は好材料、4だけが悪材料です。増資とは、新株を発行して資本金を増やすことです。"希薄化"=1株あたりの利益・価値が低下してしまうため嫌気されます(全ての増資が悪材料となるわけではありません)。

材料が出たことにより人気化し株価が大きく上昇する銘柄は、地合いに関係なく上値追いの強い動きを見せるケースが多いです。短期投資の場合はこうした銘柄に狙いを定められると良いでしょう。

好材料期待ができる銘柄に対して静かなうちに仕込む「先回り投資」

好材料期待ができる銘柄に対して、まだ株価の動きが静かなうちに仕込む方法を私は"先回り投資"と呼んでいます。

IRに関しては発表されるタイミングを予想することは困難ですが、決算であれば通期業績予想に対する進捗率から上方修正の可能性をある程度予測することができます。

好決算が期待される銘柄には決算発表に向けて期待感が先行し、株価が上昇していく傾向がありますので、その上昇局面を狙うのは短期投資において非常に有効と考えます。

では、決算後の値動きはどうでしょうか。まずは決算内容が好材料であったのか、悪材料であったのかが大切ですよね。しかし、好決算を発表したから株価は上昇する! とは言い切れないのです。下記でそのケースを説明しますが、このあたりが株式投資の難しいところではないでしょうか。

決算の見方について説明していきます。

決算で注目すべきポイントは?

◇前年同期比に対しての増減率

◇通期会社計画に対しての進捗率(上振れ期待はあるか)

◇市場コンセンサス(アナリスト予想)との比較

などが挙げられます。

中小型株の場合は会社計画との比較になりますが、多くの証券会社がカバレッジ(買いか売りかの分析)し市場コンセンサスのある銘柄の場合は予想を上回るかどうかが重要です。また、本決算の場合は前期の数字よりも今期見通しの方が評価される材料となります。株価は景気の先行指標ですので、今の業績よりも将来性に注目が集まりやすいのです。

どのような場合が"好材料"となる?

◇高い成長性または赤字からのV字回復など大きな業績変化があった場合

◇会社計画に対しての進捗率が極めて高い

◇市場コンセンサスを上回った

など、"ポジティブサプライズ"となった場合です。

決算発表後に下落となるパターンは?

◇前年同期比ではプラス成長となったが、市場コンセンサスを下回った場合

◇成長率の鈍化が顕著となった

などは、"ネガティブサプライズ"となります。

過去最高益を達成した場合においても、市場予想に届かないと嫌気されて売り優勢となってしまうことが多いですね。また、好決算を発表したにも関わらず株価が下落するケースがあります。事前に新聞報道などが伝わり株価が上昇していた場合において「織込み済み」「材料出尽くし」などとよく言われますね。また、好材料と悪材料が混在している場合は悪材料だけをジャッジされる傾向もあります。

ポイントとなるのは、決算発表時点での株価水準

さて、1月下旬から本格化した決算発表がそろそろ一巡を迎えます。

今回はコロプラ<3668>やアドウェイズ<2489>などの中小型株が上方修正を発表したにも関わらず株価は下落しました。一方、パナソニック<6752>やソニー<6758>などの大型株は構造改革が評価されて株価は上昇しました。

その違いとは何なのでしょうね。

ポイントとなるのは、決算発表時点での株価水準ではないでしょうか!

期待感が先行している銘柄は高値圏での推移となっていますよね。こうなった場合はよほどの決算を出さない限りは利益確定の売りが優勢となってしまいます。しかし、期待感が高まっていなかった銘柄や、厳しい決算が警戒されていた銘柄などで意外と良い決算が出ると、株価は底打ちで反発となるケースがあります。

決算発表前は"期待感"が、発表後は"サプライズ"が何よりの好材料と言えるでしょう。反対に、期待外れだったという"失望感"、期待通りだったという"達成感"も材料出尽くしで売りにつながります。

期待感が先行しそうな銘柄には"先回り投資"、発表後の株価上昇を狙うには"意外性のある決算"に的を絞れるといいかもしれませんね。

執筆者プロフィール : フィスコ リサーチレポーター 飯村 真由

JALの元筆頭株主である糸山英太郎氏の秘書時代に株と出会い、現在はフリーライター及びフィスコリサーチレポーターとして活動中。Yahoo!ファイナンス株価予想での的中率が高く、また購入しやすい価格帯にこだわって成長株を厳選しているスタイルも評判となっている。特に短期投資向きの銘柄選びに定評があり、毎月5銘柄ずつ紹介している単独レポートも好評。個人投資家から多くの支持を集めている。
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