ベンチマークテストの結果を紹介

ベンチマークスコアを見ても、仕様どおりGTX 1070 TiのポジションはGTX 1080と1070の間だ。それは当然として、テスト毎にGTX 1080寄りのもの、GTX 1070寄りのものがある。これはテストによってコア数が影響するもの、クロックが影響するもの、メモリが影響するものといった性格が出るためだ。それでは順を追ってグラフを見ていこう。

・3DMark v2.4.3819(グラフ1~4)

3DMarkのOverallで見ると、GTX 1070 Tiは、ややGTX 1070寄りの傾向が見られた。GTX 1080とのスコア差のほうが、GTX 1070との差よりも大きい。

3DMarkのOverall

Graphics Test

Physics/CPU Test

Combined Test

・VRMark v1.1.1272(グラフ5)

VRMarkでは、GTX 1070 TiがGTX 1080とGTX 1070のちょうど中間のスコアを記録した。そもそもVRReadyであるので問題はなく、GTX 1070あたりが性能面で現実的な選択肢となるが、GTX 1070 Tiはそれよりも少し快適な環境が得られるだろう。

VRMark

・ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク(グラフ6~7)

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークもGTX 1080とGTX 1070のちょうど中間的なスコアだ。最高画質でも2,560×1,440ドットまでは60fpsを満たすことができる。さすがに3,840×2,160ドットでは、「非常に快適」となる7000を超えることはないが、それでも30fpsに対して大きな余裕がある。

紅蓮のリベレーター ベンチマーク(スコア)

紅蓮のリベレーター ベンチマーク(フレームレート)

・Ovwerwatch(グラフ8)

Overwatchは、トレーニングのチュートリアルのシーンを利用し、冒頭の部屋を周回する形でFrapsから計測した。GTX 1070 TiはVEGA 64とほぼ同じフレームレートで、コンマ数fpsほどVegaのほうが高い程度だった。

Ovwerwatch

・Assassin's Creed Origins(グラフ9)

Assassin's Creed Originsは、ビルトインベンチマークを利用している。画質設定を「Ultra High」まで引き上げるとベンチマークが安定しないため、1つ下の「Very High」の結果をグラフ化している。Assassin's Creed OriginsにおけるGTX 1070 Tiの性能ポジションは、ややGTX 1080寄りだった。60fpsを満たせたのは2,560×1,440ドットまでだ。

Assassin's Creed Origins

・Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(グラフ10)

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsもビルトインベンチマークを利用している。画質をもっとも高い「ウルトラ」に指定しているため数値は低めだ。3,840×2,160ドットでは、GTX 1070 TiはGTX 1070寄りのフレームレートだったが、2,560×1,440ドットでGTX 1080とGTX 1070の中間になり、より低い解像度ではGTX 1080寄りのフレームレートになる傾向が見られた。高解像度ではメモリの帯域が求められGTX 1080との差が開き、低解像度ではコア数の多さでGTX 1080に近づく格好となったのだろう。

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands

・Rise of the Tomb Raider(グラフ11)

Rise of the Tomb RaiderはDirectX 12版を使用し、ビルトインベンチマークで計測した。画質設定は「最高」としている。グラフが多少荒れているが、GTX 1070 TiはGTX 1080とGTX 1070のほぼ中間と見てよいだろう。

Rise of the Tomb Raider

・消費電力(グラフ12)

負荷時のGeForce GTXの3製品間で見ると、いくつか例外があるものの、GTX 1080>GTX 1070 Ti>GTX 1070の順となっている。今回の検証環境におけるGTX 1070 Tiの消費電力は287.8Wが最大だった。

消費電力

まとめ - 価格とタイミングが悩ましい

GTX 1070 Tiの性能については以上の検証のとおり、GTX 1080とGTX 1070の中間に収まった。そこまで大きな差ではないGTX 1080とGTX 1070の間に割り込むため、価格がより重要な要素になるだろう。

参考までに、現在の実勢価格はGTX 1080搭載カードが6万円台前半から、GTX 1070は中心価格帯が5万円を若干割り込むあたりだ。およそ1万円の価格の開きのなかに、GTX 1070 Tiが割って入ることとなる。特にオリジナルクーラーモデルにおいては、安価なGTX 1080搭載製品と価格が逆転することも考えられる。

GTX 1070 Tiは性能面では狙った位置に収まったが、価格面でもそうなるとは変わらない。実際に製品を選ぶ際は、価格だけでなく、オリジナルクーラーの静音性やカードのサイズといったほかの要因も関係するわけだが、悩ましいGPUと言えるだろう。

そしてタイミングも悩ましい。この時期にPascal世代のGPUを買うべきか、それとも次期アーキテクチャを採用した新GPUを待つべきか、そういった意味でもいろいろと考えてしまう製品だ。