【レポート】

富士通、ディープラーニング基盤などAI関連の複数製品と導入事例を発表

富士通は5月16日、記者会見を開催し、コールセンターの問い合わせにAIのチャットで自動対応するサービス「FUJITSU Business Application Operational Data Management & Analytics デジタルエージェント for コールセンター」と、NVIDIAのGPU「Tesla P100」を搭載したディープラーニング基盤システム「FUJITSU AIソリューション Zinraiディープラーニング システム」の販売を開始すると発表した。また、同社の掲げる「共創」の事例を紹介と目指すAIビジネス戦略についても説明があった。

チャット形式の自動対応サービスを提供開始

富士通 執行役員 デジタルサービス部門 AIサービス事業本務担当の原裕貴氏

まずは、富士通 執行役員 デジタルサービス部門 AIサービス事業本務担当の原裕貴氏が、同社のAIプラットフォーム「Zinrai(ジンライ)」の商品戦略について紹介した。同サービスは2017年4月にプラットフォームサービスとして、クラウド上のAPIで顧客へ提供されている。2017年度中に30種のAPI提供を予定しており、4月には先行して9種がリリースされた。

原氏は「Zinraiの強みは、目的別のAPIとしてサービスメニュー化して提供できる点、スパコン技術で培った最先端かつ独自の技術、優れた技術者が多い点が特徴である」と主張する。

Zinraiの強み

今回、「FUJITSU Human Centric AI Zinra」を採用したサービスとして、同社はチャット形式の自動応答サービス「ODMA デジタルエージェント for コールセンター」の提供を開始した。

同サービスは、企業内に蓄積された問い合わせ対応のナレッジやFAQをZinraiが読み込むことで、問い合わせの入力文を高精度に理解し、的確な回答を導くことができる。また、対話履歴から自動的に自然な対話を学習するほか、同社がこれまで実践で培った問い合わせ対応時のマナーや話法などのノウハウを組み込み、利用者にストレスを与えないオペレーションを行う。

さらに、同社内で蓄積されたオペレーターノウハウを学習した状態でサービスが提供されるため、最初からスムーズな対話ができるという。

「ODMA デジタルエージェント for コールセンター」システム構成イメージ

同日、野村證券にデータ品質の向上が可能な分析用のAIを導入することも発表されたが、同社に対して導入する異常な業務パターンを検知するサービスにおいては、いつもとは異なる「アノマリパターン」について、有識者でも気づけなかった新しいパターンを見つけることができたという。

原氏はこの事例について「業務や業種に特化することなく、広く使える技術だ」と、汎用性の高さを指摘する。

そのうえで「従来AIが苦手としていた『環境の不確実な変化』に対して対応できるようにしたい」と、同社のAIビジネスの展望を語った。

Zinraiを支える世界最高クラスのディープラーニング基盤システム

富士通 執行役員 サービスプラットフォーム部門 AI基盤事業本部長の吉澤尚子氏

続いて、同社の執行役員 サービスプラットフォーム部門 AI基盤事業本部長の吉澤尚子氏が、Zinraiを支える最先端テクノロジーについて説明した。

今回発表された「Zinraiディープラーニング システム」は、ディープラーニング専用サーバと動作検証済みのストレージおよびソフトウェアをシステムとして提供するもの。NVIDIA の最新のGPU「NVIDIA Tesla P100」を採用したディープラーニング専用サーバにより、世界最速クラスのディープラーニング基盤を実現できるという。

同社は今年4月にクラウド型のディープラーニング基盤「Zinraiディープラーニング」の提供を開始したが、今回データを外部に持ち出したくないなどの理由から、オンプレミス環境でディープラーニング基盤を構築することを望む顧客に向け、同システムの販売を開始した。

同システムの販売価格は3570万円からとなっており、2020年度までに累計1900システムの販売を目指す。

Zinraiディープラーニングシステム

また同日、1QBitと協業することで、最適化問題を高速に説くことのできる計算機「デジタルアニーラ」をZinraiに適用することも発表。これにより「金融ポートフォリオの最適化や物流における配送計画の最適化を実現できる」と、吉澤氏はその効果を語った。

顧客とともに創るAIの未来

富士通 取締役 執行役員副社長 グローバルサービスインテグレーション部門長 谷口典彦氏

富士通 取締役 執行役員副社長 グローバルサービスインテグレーション部門長の谷口典彦氏からは、同社のAIビジネス戦略についての説明が行われた。

同社が目指すAIの方向性は、「人と協調する、人を中心としたAI」「継続的に成長するAI」「AIを商品・サービスに組み込み提供」の3つ。谷口氏は「人に寄り添うAIを目指したい」と語った。

AIが単独で課題を処理するのではなく、人間の判断を大事にしながら、人に寄り添うAIにしていくのが基本的な姿勢であり、継続的な成長についても、顧客とともに成長していくAIを目指すとした。

富士通が目指すAIの方向性

次に谷口氏は、AIビジネス戦略の4つの柱として「顧客とのCo-creationを拡大し、オープンなAIを目指す」「社内実践の推進」「グローバル展開の加速」「AI技術のエコシステムの確立」を挙げた。中でも印象的だったのが「共創」と「オープン化」というキーワードだ。顧客と一緒にAIを成長させ、同社で技術を囲い込むのではなく汎用的に使えるようなエコシステムを確立するのだという。

AI戦略の4つの柱

谷口氏の言葉からは、同社がAI技術の進化を促進させ、広く世の中の役に立てたいと、社会的使命を強く感じていることが伝わってきた。

ちなみに、本記者会見の司会進行役は、同社の開発したメディエイタロボット「RoboPin(ロボピン)」。流暢な日本語を使って登壇者の紹介などをしてくれた。

あいさつをする「RoboPin」。「記者会見での司会は初めてなので、緊張している」と話していた

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