改編期の楽しみと言えば、各局で放送される"番組祭り"特番。この期間には各番組の長時間特番が放送されるが、人気番組と新番組の出演者が一堂に会するのはこれだけであり、スター同士の「夢の共演」も見られる。まさに、局の総力を結集した"テレビの華"と言える番組だ。
かつては、「番組対抗クイズ」が定番だったが、近年は多様化し、新たなスタイルが定着する局もあれば、まだまだ模索が続く局も。そんな"番組祭り"特番のあるべき姿を、コラムニストの木村隆志氏が提言する。
看板番組ベースでファン視聴見込む
現在継続されている番組祭り特番の象徴は、1991年から25年半・52回の放送実績を持つTBSの『オールスター感謝祭』。百数十人もの芸能人がクイズに挑むスタイルと、「赤坂5丁目ミニマラソン」などのコーナーで構成され、春秋の風物詩として人気を集めてきた。
しかし、近年は出演者が減り、クイズコーナーも縮小するなどのスケールダウンが見られるなど低迷気味で、かつては視聴率30%を超えた人気番組も、今年4月8日の放送は11.0%に終わった。
他局に目を向けると、日本テレビは2日に『日テレ系人気番組No.1決定戦2017年春』を放送し、視聴率16.8%を記録した。この特番は、看板番組の『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』『行列のできる法律相談所』『しゃべくり007』をベースにした4部構成で、2013年から9回にわたって放送されている。
番組構成は『オールスター感謝祭』のようなクイズ形式ではなく、グルメプレゼン、爆笑映像集、エピソードやゲーム対決などの多彩な対抗戦。看板番組をベースにしているためファンの視聴が見込める上に、リレーで見せるだけに飽きられにくい。バラエティが好調な日テレの強みを生かした番組祭り特番と言える。
土曜深夜番組ベースで新たな形
一方、フジテレビは今春、大胆なトライを見せた。14日に放送された番組祭り特番のベースになったのは、何と『さんまのお笑い向上委員会』。同番組は土曜深夜の放送で、ゴールデンタイム進出は初めて。さらに、TBSのようなクイズ形式でも、日テレのような看板番組のリレーでないことからも、異例の試みであるのは間違いない。
番組構成は、『さんまの番組向上委員会』と称して、「明石家さんまをはじめとする芸人軍団が各番組の問題を笑いで解決していく」というもの。堀内健が小栗旬にギャグをムチャ振りし、上川隆也と高嶋政宏が新人漫才師コンビ扱いされるなど、「俳優たちをイジリながら番宣する」という新たな形が見られた。
残念ながら視聴率は7.7%にとどまり、賛否の声はあれど、負担が大きくなるのを承知で俳優たちに理解を求め、視聴者を喜ばせようと挑む姿勢は、もっと評価されていいのではないか。