もうすぐ姿を現す「Windows 10 Creators Update」では、VR/MRデバイスをOSレベルでサポートする。また、「Windows Holographic」改め「Windows Mixed Reality」対応PCと組み合わせるヘッドマウントディスプレイ (HMD) がパートナー企業からリリースされる予定だ。1月に開催されたCES 2017では、5社がHMDデバイスを公開した。

これらのHMDデバイスは、300ドル程度の価格帯で2017年内に発売される予定だ。「Microsoft HoloLens」とは異なり、PCのハードウェアリソースを使ってVR/MR環境を実現する個人向けHMDデバイスとなる。

Windows 10 Creators Updateの「設定」に加わる「複合現実」

Windows Mixed Reality対応のHMDデバイス。左から3Glasses、Acer、Dell、HP、Lenovoの製品

VR/MRコンテンツを作成する開発環境も整い始めている。Microsoftは3月1日、開発者向けにAcer製HMDデバイスとWindows 10 Insider Preview、SDK、ドキュメントなどをセットにしたパッケージを用意し、申し込みを受け付けている

この開発キットに同梱されるAcer製HMDデバイスは、90Hzのリフレッシュレートを持つ1,440×1,440ピクセルの液晶ディスプレイと、3.5mmジャックによるオーディオ出力&マイク入力、表示用のHDMI 2.0とデータ転送用のUSB 3.0端子を備えている。解像度については、HP製HMDデバイスにも「1440^2」というロゴがあることから、1,440×1,440ピクセルが標準スペックとなるようだ。

Acer製の開発者向けHMDデバイス

さて、Windows 10 Insider Previewでは、すでにUWP (ユニバーサルWindowsプラットフォーム) アプリケーション「複合現実ポータル」を通じて、VR/MRコンテンツを体験できる。

複合現実ポータルを起動すると、最初に自身の身長を登録し、HMDデバイスの装着をうながされる。筆者はWindows 10に対応するHMDデバイスを所有していないため、Xboxコントローラーとマウスを使って開発者向けシミュレーションモードから操作した。頭を上下左右に動かすようにコントローラーの左スティックを動かすか、マウスの右ボタンでドラッグすると視点が移動する。

Windows 10標準搭載のUWPアプリケーション「複合現実ポータル」

アプリケーション上に映し出される仮想空間。HMDデバイス装着時は現実世界の部屋が映し出されるはず

仮想空間内では各UWPアプリケーションを起動し、HMDデバイスがサポートする入力ジェスチャーで操作可能になるはずだ。面白いのが各UWPアプリケーションは、ベースとなるWindows 10上で登録したMicrosoftアカウントを引き継ぎ、メールやカレンダーは、PC上で登録した内容がそのまま表示される。なお、複合現実ポータルは[Win]+[Alt]+[I]キーを押せば、各入力先を複合現実ポータルからデスクトップに切り替える仕組みだ。

「Windows Mixed Reality Shell」と思われるシェルメニューも呼び出せる

仮想空間内で「Grooveミュージック」を起動した状態

こちらは「フォト」を起動。Windows 10と同じコンテンツが表示される

入力インターフェースの主軸は、これまでのキーボード&マウスから、HMDデバイスへと移行が進むのだろうか? 長年使い続けてきたキーボードのよう機敏な入力は難しく、マウスのような柔軟性は乏しいだろうが、Windows Mixed Realityという基盤が我々に新たなUXを提供する存在となるのは間違いない。今後の開発を楽しみにしながら、HMDデバイス登場を一日千秋の気持ちで待つことにしよう。

阿久津良和(Cactus)