インテル代表取締役社長の江田麻季子氏

Intelの日本法人であるインテルは3月2日、都内で説明会を開き、今後の成長に向けた戦略などを披露した。

同社代表取締役社長の江田麻季子氏は冒頭、「最近、Intelとしてはデータカンパニーを標榜している」とし、その背景に、増え続けるインターネットの上でやり取りされるデータ、いわゆるデータ爆発があることを指摘、データを生み出すエッジノードから、そうして生み出されたデータを解析するデータセンターまで、データに関わるすべてを網羅するデータカンパニーを目指しているとした。

そうした社会の動きと併せる形で同社は、戦略的な重点領域として「クラウド、AI、ネットワーク」、「メモリ、FPGA、5G」、「データリッチなモノと機器」の3つを掲げる。クラウド分野は、すでに同社が注力している分野だが、2016年には、Nervanaプラットフォームを発表するなど、さらにAIへの注力を加速させることを明らかにしているが、2017年は日本でもそうした動きを活発化させるために、4月6日に東京にて「AI Day」を開始する予定であることを明らかにし、自社の最新動向のほか、パートナーによる約20個のデモなども披露する予定であるとする。

Intelが掲げる3つの重点領域。AIに関しては、XeonやXeon Phiによるスケーラビリティ性に加え、Nervanaなどの買収による事業強化を進めてきた

また、こうした大容量データを活用する要素技術として注目しているのが、メモリ、FPGA、5Gということとなる。中でも5Gは、IoTや自動運転車など、さまざまなモノをつなぐ通信規格として期待を示しており、同社でもエコシステムパートナーとフィールドテストなどを進めてきたほか、IoTのさまざまなセグメントのメーカーと協力して開発中のプロトタイプを2017年中に提供する計画であるとする。すでに同社は「Goldridge」(開発コード名)と呼ぶ28GHzおよびサブ6GHz RFICと組み合わせて利用するグローバル5Gモデムの開発を進めており、第2四半期中にサンプル出荷することを計画している。さらに、2月27日~3月2日の期間、スペインにて開催されている「Mobile World Congress(MWC) 2017」でも14nmプロセスを採用したギガビット級のLTEモデム「XMM 7560」を発表したほか、ハイエンドFPGA「Stratix 10」をベースとした第3世代Intel 5G Mobile Trial Platform、パートナー各社と協力した5Gの端末と基地局の相互運用性デモなどを公開したとする。

5Gにより、さまざまな機器のさまざまな要件に応じることが可能となるため、より機器同士の連携が進むこととなる。「Intel Go」は自動車とクラウドを連携させる5G対応開発プラットフォームで、開発速度の向上、コスト削減、柔軟な自動運転開発の実現などをユーザーに提供するとしている

さらにデータリッチなモノと機器への取り組みとしては、IoTの発展に期待を示し、その適用分野も小売り、交通、産業/エネルギーなどの業界に特化したソリューションを展開。中でも自動車に関しては自動運転ソリューション事業部を新たに立ち上げ注力していくとするほか、店舗での販売機会を向上させたい小売り分野に向けても、リアルタイムのデータ分析による最適化を図ることを目指した「Intel Responsive Retail Platform(RRP)」を提供することで、顧客体験の充実やサプライチェーンから店舗までの運用効率向上などを高いセキュリティ環境下で実現することが可能となるとしており、これにより店舗ですぐに黄道できるような実践的なインテリジェンスを得ることができるようになるとする。

エッジノードとしては、業界に特化した形での注力も行っていく。中でも小売りについては、実店舗でのIT化/IoT化が進むことで、新たな顧客体験を実現できるとの期待から、新たなプラットフォーム「Intel RRP」の展開を進めようとしている

なお、Intel RRPの一部であるRFID在庫管理ソリューションは、すでにシステムインテグレータやサービスプロバイダなどから提供されているが、Wi-FiやBluetooth、カメラなどを用いた新たなユースケース向けソリューションも2017年中に提供を開始する計画としており、これにより、店舗にてリアルタイムでデータを処理することが可能となり、即座に顧客に対するアクションを起こすことができるようになることが期待できると同社では説明している。