米ラスベガスで開催中のCES 2017にて、LGエレクトロニクスのブースを取材した。最も驚かされたのは、「壁紙テレビ」をコンセプトにうたう有機ELテレビ「LG SIGNATURE OLED TV Wシリーズ」だ。なんと、手で簡単に曲げられるほど薄い。

LGブースの入口では、216枚のOLEDで作られたトンネルが来場者を待ち受ける

壁に掛けるのではなく「貼る」テレビ

新顔のWシリーズは、有機ELテレビに力を入れ続けててきたLGの2017年モデルとしてラインナップに加わる予定。画面サイズは77型 / 65型 / 55型の3サイズで、LGディスプレイが開発する最新世代の有機ELパネルを使っている。この有機ELパネルは制御アルゴリズムの最適化などにより、従来比で輝度が約25%アップしたことも特徴だ。

LGのフラッグシップ有機ELテレビ「Wシリーズ」。"壁に貼れる" 薄さが魅力だ

ブースの中央にはWシリーズがくるくると回る展示台を用意。来場者は立ち止まったまま、色鮮やかでコントラストの引き締まった映像をチェックしたり、ディスプレイの薄さに思わず目を丸くしていた。

ディスプレイの重さは、55インチで約2kgとこれも驚くほどに軽量。パネルの背面にはマグネットが仕込まれていて、専用のウォールマウントブラケットを壁に取り付けてけば、まさに「壁に貼る」感覚で設置できるという仕組みだ。 チューナーや入力端子などは別きょう体になっており、Dolby Atmos対応のスピーカーも一体化したベースユニットに内蔵されている。ディスプレイとユニットの間は専用の平形ケーブル1本 (コネクタはHDMI) で接続する。

展示什器のガラスパネルのほうが目立ってしまうほど薄くて軽い

白い壁に貼ると絵画のような佇まいに

別きょう体にスピーカーやチューナーなどをまとめ込んだ。スピーカーはDolby Atmosの立体音響に対応する

最新世代の有機ELパネルの高輝度をアピール

画期的な製品だが、一つ気になるところがあるとすれば、「壁貼り」以外のスタイルで設置するための、テーブルトップスタンドなどがまだ決まっていないことだろうか。北米では、2017年前半の発売を予定しているという。価格は65インチのモデルで7,950ドル (約92万円) を見込む。日本での発売は検討中というステータスだ。

液晶にも新技術「Nano Cell」

LGの4K HDRテレビは有機ELだけじゃない。液晶テレビについても、今年は新たに「Nano Cell」と呼ぶブレイクスルーを用意した。液晶のドット一つひとつに1nm (ナノメートル) の範囲で光の波長漏れを吸収・コントロールする特殊な素子を塗布することで、正確な色再現と広視野角を実現するという技術だ。 サムスンの量子ドットに近い考え方ではあるが、Nano Cellの方がパネルの画素に対して均等なサイズで材料を塗布できるため、光の透過率を下げることなく、より鮮やかに色を再現できるのだという。LGの2017年モデルにおいては、SJ9500 / SJ8500 / SJ8000シリーズに採用される。

Nano Cell技術を搭載する液晶テレビ

また、同社の4K/HDRテレビは2016年モデルでも「HDR10」と「Dolby Vision」の両方式をサポートしていたが、2017年モデルは新たに放送系コンテンツで使われる「HLG (Hybrid Log Gamma)」や、ヨーロッパで成長が見込まれるテクニカラー社の「Advanced HDR」の4方式にマルチ対応する。LGがテレビ製品をワールドワイドに展開しているからこその全方位政策と言えるだろう。