ここで紹介するスタートアップは、DMM.make AKIBAの利用者の中から集まった

12月14日から16日にかけて東京ビッグサイトにて開催されているエレクトロニクス製造サプライチェーン総合展示会「SEMICON Japan 2016」。その一角に技術系・ものづくり系スタートアップが集合する展示スペース「INNOVATION VILLAGE」が設けられている。本稿では、IoT機器を手がけるスタートアップの展示内容をお届けする。

犬の気持ちを光で見せるデバイス

愛犬の気持ちがわかるデバイスとして話題になった「INUPATHY(イヌパシー)」が出展。Web上で公開されているものとは異なるデザインのデバイスの展示を行っていた。

「犬の気持ち」の測定は、犬の腹部側に取り付けられている心拍センサーで行い、そこから得られた心拍データを解析し「ドキドキ/リラックス」「集中」などの状態変化に応じてLEDの明滅パターンが変化する。

展示していた「INUPATHY」試作機は業務用3Dプリンタで出力したもの

イヌパシー CEOの山口讓二氏が開発に当たって苦心したのは、日常使いできる心拍センサーの開発だった。獣医師などが使う既存の心拍センサーは、犬の皮膚をクリップで挟み込むなどしなくてはならず、常に犬に装着させるのは難しい。犬の毛がセンサーの動作を阻害してしまうことはあったが、毛を剃らなくても使えるよう、既存の方式を活用しながら独自に開発を進めた。

現在は最終デザインの検討段階で、その後量産に入る見込み。生産を依頼する工場のめども立っているという。

3Dプリント義手を広く届けるために

NPO法人「ミッションアームジャパン」の展示では、国内外で受賞例多数のオープンソース筋電義手「HACKberry」を展示。元exiiiCEOで、現在ミッションアームジャパンに所属する近藤玄大氏が展示解説を担当していた。

「HACKberry」

「HACKberry」に使用されているパーツ群

「HACKberry」の今後について、たとえばモーターひとつ取っても、現在は価格や機能の兼ね合いからやや稼働音が大きいものを搭載しているが、価格が上がってでも静音性の良さを求めるユーザーのニーズにも応えたいと語る近藤氏。言うなれば、単一のベーシックモデルだけでなくプレミアムモデルまで、選択の幅を広げたい考えだ。

また、本体だけでなく、「HACKberry」に使用されているパーツの展示も行っている。「(全体的に小型化を目指していきたい」ということで、SEMICONに出展する技術力あるメーカーとの出会いを期待していると話していた。

泳ぐペンギンロボット

ペンギン型水中ロボット「もるペン」の実演をし、注目を集めていた「TRYBOTS」。代表の近藤那央氏が高校時代から継続しているプロジェクトで、今回展示していたのは7代目。改良を重ねて信頼性が上がり、展示に耐えうるようになったそうだ。

ペンギン型水中ロボット「もるペン」の実演

研究・調査用の水中探査ロボットの堅いイメージとは異なるビジュアルで、エンターテインメント要素を持った製品として開発されている。遊泳の実演だけでなく、「もるペン」の視点を体験するVRコンテンツにも対応、これまでにも浜松科学館などでイベント展示を実施してきた。今後の課題として、旋回時に小回りが効くように調整を進めていきたいと話していた。