デンタルフロスも家庭でできる歯肉炎ケアのひとつ

歯茎からのちょっとした出血のつもりが、そのままにしておくと静かに症状が進行して歯周炎などへとつながる歯肉炎。重篤な症状が出てしまう前にできるケアにはどのようなものがあるだろうか。

今回は、M.I.H.O.矯正歯科クリニック院長の今村美穂医師に、自宅で簡単にできる対策から歯科でできる最新の治療法まで、歯肉メンテナンスのノウハウを教えてもらった。

歯肉炎ケアの基本はきちんとした歯磨き

歯磨き時に血が出てきてしまったので、歯茎を傷つけないためにもそれからしばらくは歯磨きを控えめにした経験はないだろうか。実は歯肉炎の度にこのような"対症療法"に終始してしまっては、全く意味がないと今村医師は話す。

「血が出てしまう原因を知って、それに対応した歯磨きをしていかなければなりません。ご自分にあった歯磨きスタイルを作って、それで磨き残しがないかどうか歯科医院でチェックしてもらうといいと思います。そうやって確立したスタイルを励行していただくのが一番です」。

歯肉炎を歯周炎へと悪化させないためにも、まずは歯科医院で血が出る原因を究明し、それから自分に合った歯磨き方法を指南してもらうことが重要だ。その際、よく磨けるように電動歯ブラシやフロス、洗口剤などを活用するのもよいが、やはり使いこなせないと意味がない。

「電動歯ブラシについては、すごくいい製品を使っている方でも、ヘッドの大きさなどから奥歯にちゃんと届いておらず、きれいに磨けていない患者さんもいらっしゃいました。機器は高度化しているんですが、使いこなせている方は意外と少ないと思います」と今村医師。

洗口剤も殺菌効果は高いが、すぐに口腔内環境は元通りになってしまう。食後すぐに外回りや会議があり、歯磨きまで時間が空いてしまうときなどの「つなぎ役」として活用するといいだろう。

歯磨き粉の"3刀流"も有効

磨き残しがないかを可視化しやすくするため、歯の汚れに色を付けるという方法もある。実際、既に日本でも汚れに色をつける歯磨き粉が市販されているという。

また歯磨き粉は、プラークコントロールを目的としたもの、歯肉炎の細菌などに対する殺菌効果のあるもの、虫歯に対してよい効果のあるものなど、いろいろな種類のものが今は販売されている。

そこで、「朝はプラークコントロール用」「昼は虫歯対策用」「夜は歯肉炎対策用」などと使い分けると、「口のトータルケア」が期待できそうだ。ただ、うがいをしすぎてしまってはせっかくの高濃度の薬効成分も口腔内に定着しづらい。口のゆすぎすぎには注意しよう。