イギリス料理はおいしくない……と思っている人は多いのではないか。ネット上ではイギリス=メシマズなんていうイメージが定着しており、確かにイギリス料理と聞いて思い浮かぶのは「フィッシュ&チップスと……ああ、アフタヌーンティーセットもあったよね。他は……???」となる人が多いように思う。しかし、そんなイメージはもう古いことが今回の取材でわかった筆者。取材にうかがったのは「ストリングスホテル東京インターコンチネンタル」(東京都品川区)。現在開催中の「Taste of Modern British(テイスト オブ モダンブリティッシュ)」では、現代版に仕上げたイギリス料理を食べてみたので、そのメニューの一部を紹介しよう。
進化したイギリス料理とは?
同フェアで提供するのは、「モダンブリティッシュ」料理。イギリスらしい素材や料理に、ヨーロッパやアジアの料理手法、ハーブやスパイス、フルーツなどを取り入れ、香りも彩りも楽しめるという。
気になるメニューを早速見てみよう。イギリス料理の定番、ローストビーフがぎっしり挟まった「ローストビーフサンドウィッチ」(2,800円)は、ボリュームのある見た目とは裏腹にさっぱりとした味わいだ。上にはゆずがトッピングされており、かんきつ類の香りが爽やかさを生み出していた。
ソースにリンゴのコンフィを使った「天草ポークベリーのロースト アップルソース」(3,000円)は、表面がカリッと焦がされていて、脂の甘味を十分に堪能できる一品。アップルソースには、少し酸味のある紅玉を使っているので、後味はさっぱり。しかしあらためて思うのだが、豚肉はフルーツと合う!
オレンジ果肉やドライグレープフルーツが添えられ、華やかな見た目なのは、「スコットランド産サーモンのフェンネル風味マリネ オレンジバルサミコソース」(2,300円)。特製キャロットオレンジのヴィネグレットソースの甘酸っぱさが、サーモンの上品な味わいを同時に楽しめる。
「新潟県産 越の鶏のコリアンダーとレモン風味ロースト サラダ添え」(2,800円)は野菜がたっぷりと入っており、女性から人気が高いとのこと。ハーブでマリネされたチキンは風味が高く、香ばしい。口に含むと柔らかい肉質から肉汁があふれ出てきた。
アフタヌーンティーも進化していた!
数々のモダンブリティッシュを味わった後に出てきたのがアフタヌーンティー。同フェア期間中は、現代風にアレンジされ、「Afternoon Tea of Modern British アフタヌーンティー オブ モダンブリティッシュ」(4,000円)としてメニューに加わっている。
テーブルに運ばれてきたのは、アフタヌーンティーの定番である3段のスタンド……ではなく1枚の石板プレート。その上には、ひと口サイズの11種類のスイーツと2種類の軽食が乗せられており、思わず「かわいい! 」と言ってしまった。
スイーツというと生菓子に注目が集まりがちだが、筆者が今回特に目からうろこだったのは焼き菓子だ。「レモンとタイムのショートブレッド」は、限界まで粉を少なくしたことで、さくっとした食感と口の中でほろほろと溶けるような軽さを生み出している。
ご存知フィナンシェは、ホワイトチョコレートでコーティングされた「ロリポップフィナンシェ」として登場。キュート過ぎる……。
そのほか、「ティプシーフルーツケーキ」「ピスタチオマカロン」「レモンパイ」「グリヨットチェリーの一口カップチョコレート」「イチゴのシュークリーム」「ローズのロールケーキ」「カシスとカルダモン風味のゼリー」といったさまざまなスイーツが登場する。
またイギリス特有のホワイトチェダーチーズを使用した「ターキーパストラミサンド」と、ゴルゴンゾーラの香りを楽しめる「トリュフとゴルゴンゾーラチーズのライスコロッケ」といった塩気のあるアイテムも工夫がなされており、食べ飽きない。
そして、アフタヌーンティーに欠かせないスコーン。プレートとは別に、「アールグレイ」「チアシード」「トリュフ」の3種類のスコーンが登場する。付け合わせの「クロテッドクリーム」は国産で、濃厚な味わいがスコーンと相性抜群だ。
紅茶には、英国王室御用達の紅茶ブランド「H.R. ヒギンス」のフルーツフレーバーティー「ブルーレディー」、ミルクティーにオススメだという「デュークストリート」、ダージリンやアッサムをブレンドした「アフタヌーン」の3種類を用意。抽出には、紅茶に最適といわれている硬水「ヒルドン」が採用された。
筆者はアフタヌーンを注文。入れたての紅茶からふわっとダージリンが香り、思わずため息が漏れる。スイーツの邪魔をしないあっさりとした味わいで、後には適度な渋みですっきりとした後味。主役を引き立てる上品な味わいだった。
ドリンクには、そのほかにもスペシャルコーヒーの「ルビー」や「エスプレッソ」「カフェラテ」など約20種類を取りそろえている。
今回、モダンブリティッシュの食事メニューからアフタヌーンティーセットまでいただき感じたことは、とにかく香りの演出がすばらしいということ。ハーブや香辛料、フルーツ……。さまざまな香りで期待感を高めてくれた。味わってみてのおいしさはもちろんだが、いただく前のワクワク感が特に印象的だった。
イギリス料理になじみがない人こそ味わってほしいモダンブリティッシュメニュー。
この機会に、ストリングスホテル東京インターコンチネンタルで優雅で紳士的な食事を楽しんではいかがだろうか(同フェアの提供期間は3月31日、アフタヌーンティー オブ モダンブリティッシュは3月13日まで)。
※価格はすべて税・サービス料12%別