2016年にMicrosoftが開催するイベントとして注目すべきは、3月30日から4月1日(米国時間)にサンフランシスコで行う「Build 2016」である。それを受けて日本マイクロソフトも5月24日から2日間、都内で「de:code 2016」を開催する予定だ。

昨年のBuild 2015では、当時のOperating Systemsグループ担当CVPのJoe Belfiore氏がMicrosoft Edgeを発表し、Continuum for Phoneのデモンストレーションも披露した。このように、Build 2016でもWindows 10に関する何らかのトピックが明かされるはずだが、とくに興味深いのは大型アップデートとなる「Redstone (開発コード名)」の存在だ。

MicrosoftのJoe Belfiore氏は現在1年の休暇を取っている。関係者によれば昨日、京都への観光旅行で日本を訪れていたとかいないとか

Microsoft Engineering Systems Team担当CVPのGabriel Aul氏が公式ブログに執筆したWindows 10 Mobile Insider Preview ビルド10586.107の記事から、Redstoneの一端を探ることができる。注目すべきは「Release Preview Ring」と呼ばれる新たなリングを用意した点である。

従来は、リスクもあるが最新の「高速リング」と、比較的ローリスクな「低速リング」の2種類だったが、Release Preview RingはCurrent Branchの直前に位置する。Windows Insider Program開始以前のMicrosoftはCTP(Community Technology Preview)版をよくリリースしていたが、それに相当すると言えばわかりやすいだろう。

新たに加わる「Release Previewリング」と既存のリングの関係

上図はInsider Hubの記事「Insider WDG」の説明をイラスト化したものだ。Canary (カナリア) リングから発する流れは従来どおりだが、Development Branch (以前のWindows Insider Preview Branch) で開発したOSを「リリース前にWDG経由で提供する」というのがポイントだ。Windows 10 November Update時は低速リングを経てリリースに至っていたが、Redstoneではリリースプレビューを経て、さらに多くのユーザーを巻き込んだ広範囲のテストが行われるはずだ。

Webブラウザーに関する情報もある。Microsoft Edge担当Director of Program ManagementのJason Weber氏の記事だ。Microsoft Edgeはパフォーマンスなどエンジン部分の完成度は高いものの、日常的に使うWebブラウザーとしては不十分なところが多い。しかし、この記事でWeber氏は次の目標として「拡張プラットフォームの提供」や「アクセシビリティ」「セキュリティ強化や高パフォーマンスを実現する基礎部分の強化」などを掲げている。つまり、Microsoft Edgeリリース当初からアナウンスされていた拡張機能のサポートがようやく始まるということだ。

Microsoft Edgeの拡張機能に関するサポートページはすでに用意されている。もちろんリリース前のため、コンテンツは少ない

執筆時点でMicrosoftはWindows 10のマイルストーンを公にしていないが、海外のメディアを見ていくと、2016年6月と10月の2回というリーク情報がある。とくに、2016年7月末にWindows 10無償アップグレードが終了することから、2016年6月の線は濃厚だ。

阿久津良和(Cactus)