QualcommのSoC「Snapdragon」を搭載したシングルボードコンピュータの「DragonBoard 410c」は、プリインストールOSのAndroid Lollipop以外にも、Ubuntu LinuxとWindows 10 IoT Coreが公式サポートされている。今回は、Ubuntu Linuxでなにができるかをホビー目線で検証してみたい。

DragonBoardの全景図(ハードウェアマニュアルより)

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Ubuntu Linuxのインストール

DragonBoard 410c(以下、DragonBoard)の裏面にはディップスイッチがあり、ブートデバイスをmicroSDまたはUSBに切り替えられる。DragonBoard向けUbuntu Linuxは、DragonBoard本体のeMMCに自身をコピーするインストーラを備えており、これを利用すればDragon BoardがLinuxマシンに早変わり。現在公開されているUbuntu Linuxのバージョンは15.04(Vivid Vervet)だ。

Ubuntu Linuxのイメージファイルは、「96 Boards」のWebサイトで公開されている。ファイルサイズは486MBだ。これをPCでダウンロードしてmicroSDカードに書き込み、DragonBoardのブートディスクにするというわけだ。

DragonBoardの裏面にあるディップスイッチ「2番(SD BOOT)」をオンにすると、microSDカードから起動できる

96BoardsのWebサイトでは、Android LollipopとUbuntu 15.04のディスクイメージが公開されている

ダウンロードしたイメージファイルは、UNZIPで解凍ののち、Rawイメージを書き出すツールでmicroSDに書き込む。Macの場合、diskutilコマンドでmicroSDカードのデバイス名を確認し、以下の要領でddコマンドを実行すればOKだ。Windowsの場合、「DD for Windows」などのGUIツールを利用すればいいだろう。

$ unzip dragonboard410c_sdcard_install_ubuntu-102.zip
$ diskutil unmount /dev/disk3
$ sudo dd bs=1m if=db410c_sd_install_ubuntu.img of=/dev/rdisk3

このmicroSDカードをDragonBoard上のmicroSDスロットに挿入し、起動を開始する。ただし、DragonBoardの裏面にあるディップスイッチはすべてオフ(0-0-0-0)に初期設定されているので、起動させる前に、左から2番目だけをON(0-1-0-0)に変更しておくこと。そして電源を投入すれば、回転するSnapDragonロゴのあとインストーラが起動する。

インストーラでは、特に作業らしい作業はなく、コピー先としてeMMCを選択するだけ。数分後、コピーが完了すればUbuntu Linuxが自動的にブートし、青いデスクトップが現れる。

diskutilコマンドを利用し、未使用のmicroSDカードのデバイス名を調べる(この画面では/dev/disk3)

ddコマンドを利用して、microSDカードにUbuntuのディスクイメージを書き込んだ

このLinuxは、正確にはUbuntuのフレーバー(公式な派生ディストリビューション)のひとつ「Lubuntu」であり、軽量指向でメモリ消費量の少なさが特徴だ。デスクトップ環境にはLXDEを採用、「スタート」ボタンに似たUIを備えるためか、Windows XPの置き換え用にニーズがある。ブート時のパラメータなど独自の情報は、LinaroのWebサイトが参考になるだろう。