日本マイクロソフトによるWindows 10 Mobileデバイスの紹介イベントは、国内スマートフォン市場におけるiOS/Android独占状態を崩せるのか、と多くの注目を集めたが、肝心のOSは今現在も開発中だ

Windows 10 Mobile Insider Preview ビルド10549のバージョン情報

米MicrosoftはWindows 10 Mobile Insider Preview ビルド10549を10月14日にリリースした。さっそく日本マイクロソフトのエバンジェリストである高橋忍氏のブログでも、具体的なアップデート方法を解説している。前バージョンであるビルド10536からのアップデートをサポートせず、一度Windows Phone 8.1に戻してからアップデートを実行しなければならないからだ。

さて、ビルド10549の注目ポイントは日本語版Cortanaをサポートした点である。Cortanaを使用するまでにキーボードや音声言語のインストールなど数時間を要したものの、Windows 10 Insider Previewの日本語版Cortanaと同じUIが現れた。

Windows 10 Mobile Insider Preview ビルド10549のメイン画面。背景画像はWindows 10 Insider Preview時の画像に切り替えている

ビルド10549で有効になった日本語版Cortana。PC版と同じく当日の天気やスケジュールなどが現れる

PC版と同じくWindows 10 MobileデバイスでもCortanaに話しかけてみたが、天気やスケジュールの確認、他愛ないコメントなどを返してくれるものの、聞き慣れた音声が聞こえてこない。設定を確認したところ「受信テキストメッセージの読み上げ」がBluetoothのみになっていたが、こちらを変更しても結果は一緒だった。

現時点で"Cortanaさん"はできることが少ない。冗談を言ってみたところコメントしにくい返事を返してきた

こちらはCortanaの設定画面。Windows 10 Insider PreviewのCortanaの比べると設定項目が少ないため、やや古いコンポーネントを使っているようだ

開発途中にあるOSの不具合をあれこれ並べても不粋なので、ここで視点を変えてみよう。Windows 10 Mobile Insider Previewの初期ビルドで感じた、もっさりとした動作は雲散霧消し、Snapdragon 400(1.2GHz)程度のデバイスでもスムーズに動作する。

筆者は空いた時間を見付けてはWindows 10 Mobileを触っているが、そこで感じるのが、「Windows 10と同じUI」という点だ。何を今さらという声が聞こえてきそうだが、仕事やプライベートで毎日触れているPCと同じUIから得るUXは想像以上に便利だ。

これまで日本国内でモバイル系Windows OSは成功に至たらず、Microsoftは「One Windows」という構想を持っていなかった。しかし、日本マイクロソフトが発表した6社のWindows 10 Mobileデバイス開発表明によって、我々はしっくりしない場面から解放されるのだ。

10月14日に日本マイクロソフトはWindows 10 Mobileデバイスの日本市場投入を発表した。スライドには開発表明を行ったパートナーのロゴが並んでいる

既報のとおりMicrosoftは、自社製のLumia 950/950XLを2015年11月から米国を中心にリリースする。Windows 10 Mobileが「ひとまず」完成するのは同時期と決めて構わないだろう。ただし、同社はミドルレンジモデルのLumia 550の欧州市場向けリリースを12月に設定しており、日本市場向けデバイスも同月以降と推測できる。これまでPC向けOSであるWindows 10に留まっていたOne Windowsの世界は、Windows 10 Mobileデバイスの登場で大きく広がり始めるはずだ。

阿久津良和(Cactus)