既報の通り、米NVIDIAは20日(現地時間)、デスクトップ向けGPUの新モデル「GeForce GTX 950」を発表した。米国における想定価格は159ドルで、グラフィックスカードベンダ各社からオリジナルファン搭載モデルの投入が予定されている。果たしてその実力はどれほどのものだろうか。早速パフォーマンスを確認してみたい。

GeForce GTX 950

GeForce GTX 950は、第2世代"Maxwell"アーキテクチャベースのGPUで、製造プロセスは28nm。GPUコアは、「GeForce GTX 960」と同じ"GM206"コアだが、CUDAコア数は768基とGeForce GTX 960から256基減っている。Maxwellアーキテクチャでは、128基のCUDAコアで1基のStreaming Multiprocessor(SMX)を構成しているので、2基のSMが無効化されている。

GM206のブロック図。これはGeForce GTX 960のもので、GeForce GTX 950ではSMが2基無効化されている。GPCは変わらず2基だが、片方のGPCで2基無効化しているのか、それぞれのGPCから1基ずつ無効化しているのかまでは分からない

また、リファレンスの動作周波数はベースが1,024MHz、ブースト時が1,188MHzだが、NVIDIAによると「オーバークロック向けにかなり余裕を持たせた」とのことで、オーバークロック仕様のカード中心の製品展開となるようだ。

メモリクロックは、GeForce GTX 960の7,010MHzから6,600MHzと落ちているが、容量やインタフェースはGeForce GTX 960から変わらず、128bit接続の2GB GDDR5と足回りは変わっていない。

製品の位置付けとしては、GeForce GTX 960とGeForce GTX 750 Tiの間という、ミドルレンジでもどちらかというとエントリー寄りのモデルとなる。数世代前グラフィックスカードのリプレイスや、内蔵グラフィックスからのステップアップを担うものと見られる。

GeForce GTX 950との比較。単純のパフォーマンスは3倍、ワットあたりのパフォーマンスでも2倍の向上を実現したという

既存製品とのスペック比較は以下の通り。

■既存モデルとのスペック比較
モデル GeForce GTX 970 GeForce GTX 960 GeForce GTX 950 GeForce GTX 750 Ti
アーキテクチャ 第2世代Maxwell 第1世代Maxwell
ベースコア GM204 GM206 GM206 GM107
製造プロセス 28nm
トランジスタ数 52億個 29.4億個 18.7億個
GPC数 4基 2基 2基 1基
SM数 13基 8基 6基 5基
CUDAコア数 1664基 1024基 768基 640基
ROP数 64基 32基 32基 16基
テクスチャユニット数 104基 64基 48基 40基
GPUベースクロック 1,050MHz 1,126MHz 1,024MHz 1,020MHz
GPUブーストクロック 1,178MHz 1,178MHz 1,188MHz 1,085MHz
メモリクロック 7,000MHz 7,000MHz 6,600MHz 5,400MHz
メモリタイプ 4GB GDDR5(256bit接続) 2GB GDDR5(128bit接続) 2GB GDDR5(128bit接続) 2GB GDDR5(128bit接続)
TDP 145W 120W 90W 60W
補助電源ピン 6ピン×2 6ピン×1 6ピン×1
出力端子 DL DVI×1、DisplayPort×3、HDMI×1 DL DVI×2、DisplayPort×1、HDMI×1 DL DVI×1、DisplayPort×3、HDMI×1 DL-DVI×2、miniHDMI×1、DisplayPort×1

機能面では、DirectX 12のFeature Level 12_1に対応し、上位のGTX 900シリーズと同様に「Volume Tiled Resources」や「Conservative Raster」をサポートする(DirectX 12のFeature Levelについてはこちらを参照してほしい)。

また、「グローバル・イルミネーション」の負荷を軽減する「VXGI」(VoXel Gloval Illmination)、使っているディスプレイよりも高解像度でゲーム画面をレンダリングし、画面出力時に実際の解像度にダウンスケールすることで、細かな草の輪郭などディテールを向上させる「Dynamic Super Resolution(DSR)」、負荷を抑えつつサンプル数の多いアンチエイリアスと同等の品質を実現するアンチエイリアス技術「MFAA」(Multi Frame sampled Anti-Aliasing)といった第2世代Maxwell利用可能な機能にも対応する。

MOBA向けに応答性を高める

NVIDIAでは、GeForce GTX 950に合わせてGeForce向けのアプリケーション「GeForce Experience」をアップデートし、DOTA 2やLeague of Legendsといったいわゆる"MOBA"(Multiplayer online battle arena)系のゲームで、ボタンの入力から画面への反映されるまでの応答時間を短縮するという。GeForce Experienceの最適化により、Direct Xのパイプラインを1段減らして、遅延を抑える。

例えばDOTA 2の場合、GeForce GTX 650ではボタンを押してから画面への反映まで80msかかっていたが、GeForce GTX 950ではGeForce Experienceの最適化とGPUの性能向上によりレンダリングが高速化し、45msまで遅延を短縮できたという。

DOTA 2の場合、GeForce GTX 650ではボタンを押してから画面への反映まで80msかかっていたが、GeForce GTX 950では45mnまで短縮できたという

遅延を抑える仕組み。DirectXのパイプラインを1段減らし、さらにレンダリングにかかる時間が短縮されたことで、低遅延を実現する

GeForce ExperienceによるMOBA系ゲームの最適化について、しばらくはGeForce GTX 950がターゲットとなるが、いずれはほかのGPUでも対応するとしている。